『男のおばあさん 楽しく年をとる方法』
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永六輔 大和書房(2013年) |
TBSラジオで50年近く続いている「誰かとどこかで」は多くの人が聴いている長寿番組で
ある。
そこで永六輔がパートナーの遠藤泰子に語った言葉から、自分の病気や老化についての部
分を活字にしたのが本書である。
軽妙に自身の老いを語っているが、その中味はパーキンソン病とリハビリ訓練など身につ
まされるエピソードが中心で、改めて加齢に伴う身の処し方に思いを致す内容となっている
。歩き方の訓練で、壁面の大きな鏡に向かって歩いている自分の姿勢にショックを受ける場
面など、他人ごとではない。
タイトルがなぜ「男のおばあさん」なのか。もちろん個人差はあるだろうが、頑張り過ぎ
ないで肩の力を抜いた自然体のおばあさんのように生きることが、楽しく年をとる方法では
ないかと、著者は問いかけているのだろう。
パーキンソン病もアルツハイマー病も、それを見つけた医者の名前であることや、度忘れ
と物忘れの違いなど、参考になることも多い。年をとって」よかったことにも触れ、「老い
る覚悟ができました」が最終章に置かれる。
ジグザグな経過を辿って年を重ねるのが老化だということ、わかっているつもりでも現実
となってみると「こんな筈ではなかった」と思いがちだが、それを認め受け入れることが、
「老いる覚悟」につながるのだろう。
老いも若きも一読したほうがよさそうである。
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