|
くぅばーたんの妖怪図鑑 9 妖怪「ツゲグッチー」 |
||
|
サーちゃんが、いつもの様に、一人でぷらぷらと家に帰る途中。 郵便局の裏の公園の入り口で、プラムの木を見上げている亜由美ちゃんを見つけた。 呼びかけようとして、サーちゃんの足が止まった。 (いくらクラスが替わったからって!) サーちゃんは、冷たくなった亜由美ちゃんにも真帆ちゃんにも腹を立てていたのだ。 (でも………) ケンカしたわけでもないのに、キライになったわけでもないのに、このまま、友達じゃなくな るなんて、悔しい。 エイッ!気合いを入れて、 「亜由美ちゃん!」 といいながら、肩を叩いてみた。 亜由美ちゃんは、ビクッと振り返って、サーちゃんだと分かると、微笑んで見せた。 が、なんか口元が歪んで不自然。 サーちゃんは、声をかけた事を後悔し始めていた。 「じゃ、ねっ!」 と、片手を上げて、バイバイと、手を振って歩き出そうとした時、 「サーちゃんちのプラム、もうとったの」 と、亜由美ちゃんが、きいてきた。 (プラム?ああ、スモモね) サーちゃんの家の庭にもスモモの木が1本有る。 「去年は、一緒にとって、ムシャムシャ食べたね。すごく甘くておいしかったね」 亜由美ちゃんが、おずおずと言った。 「あー、そうだったね。楽しかった!」 サーちゃんの声が、弾けた。 「うん、楽しかったよねー」 亜由美ちゃんも、いつもの明るい声になっていた。そして、 「ここのも、もう食べられるのかな?」 と、プラムの木を見上げた。 木には、五百円玉ぐらいの大きさの、だけど形は楕円の実が鈴なりになっていた。なかには青 く堅そうな実もあったが、そのほとんどが、黒紫に熟していた。 「食べられそうだけど……、消毒の薬とかついてるかもしれないから、他所のは食べちゃダメ だっておじーちゃんが言ってたよ」 それを聞いて、亜由美ちゃんがクスッと笑った。 「やっぱり」 と、言いながら。 「何がやっぱりなの?」 サーちゃんは聞かずにはいられなくて。 「真帆ちゃんが、『サーちゃんは家の事を直ぐに自慢する』って。庭が広い事とか」 と、亜由美ちゃんの告げ口が、始まった。 「サーちゃんちは、家も敷地も広いけど、ここら辺りは田舎だから、値打ちは無いって。それ なのに金持ちぶっているって」 告げ口は、さらに続く。 「真帆ちゃん、私立の中学、受験するみたいよ。電車で、塾に通ってさ。お嬢さん学校受け るって!真帆がお嬢さんだってよ!」 そこには、サーちゃんの知らない亜由美ちゃんがいた。
|
||