9月12日 更新

 児童文学作家 辻邦と その仲間 青山和子と生田きよみ のページです。
 
 連載 生田きよみ
9月12日更新
   短文 辻邦
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この2月に生まれた航真君

恵大君 今は5歳です
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 「この本」  好きだった、感動した、元気づけられた、お薦めしたい、そんな本


 「トロッコ」   芥川龍之介・作

 良一が、八歳の時の事でした。家の近くに新しく鉄道が引かれることになって、良一は工事の現

場を見に行きました。工事現場は活気があって、ワクワクします。特に現場から土を運び出すト

ロッコが良一は好きでした。
 

トロッコは魅力的で、工事の小父さんの隙を見て悪戯して叱られたり…。でも、トロッコに触り

たいな、押したいなという気持ちは消えません。
 

ある日、良一は、優しそうな工事のお兄さんに頼んで、トロッコを押させてもらう事が出来ました。

 喜んで、お兄さんたちとトロッコを押してゆくうちに…。

 竹やぶを過ぎ、雑木林を通り抜け、高い崖のむこうに海が見えて来て…。
 

とんでもなく遠くに来てしまったことを知った良一は、心細くなりました。そして、お兄さんたちに「帰りな」と言われて…。
 

日の落ちた山の中を、一人で引き返すことになった良一。泣きそうになりましたが、泣いている場合じゃないと必死で来た道を一人で戻りました。必死の思いで走り続け、暗い道を無我夢中で走り抜け、家の玄関に飛び込んで!良一は大きな声で泣きました。
 

その時のことを、良一は大人になっても時々思い出しました。

子どもの頃、好奇心からやってしまった失敗が、なぜか今でも心に引っかかっているというこ

とはありませんか?私が六歳だった頃。そのころ住んでいた西銀座七丁目では、「ドンガラガ

ッタ、ガッタ、ガッタ」と太鼓を叩いて触れ回る「ドンガラガッタ」と呼ばれていた引き売り

のおもちゃさんが、時々店を開きました。紙風船やら竹とんぼやら子どもにとっては手が届き

そうな魅力的なおもちゃたち。ある時、なぜか私は店先に一人、風船を膨らまし口を離すと「

ブオ~ン」と大きな音を立てるおもちゃを吹いてみたら、風船が割れてしまって!私は逃げ出

しました。その日だけではありません。太鼓の音を聞くたびに家に逃げ帰り、息を潜めていた

ことが忘れられません。

この話を読んで、主人公の後悔の念に強く共感したのを覚えています。