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好きだった、感動した、元気づけられた、
 お薦めしたい、そんな本
 目次 1 十二番目の天使 2 おばあちゃんが 汽車だったはなし 3 トロッコ 
ジーキル博士とハイド氏  5 若草物語  6 黒猫  7 あしながおじさん 
8 
ニルスのふしぎな旅 9 ママの銀行預金 10 点子ちゃんとアントン 
11 
風の中の子供 12 秘密の花園  13 小僧の神様
 
 1 十二番目の天使 オグ・マンディーノ 作  坂本貢一 訳
ジョン・ハーディングは成功者として、故郷アメリカのニューハンプシャーのポーランドに帰った。妻と息子と暮らすために。
 ジョンの両親は、この町で生涯を終え、息子は秀才である場からでなく、野球選手としても優秀で自慢の息子だった。そして、若くして大会社の社長となったジョンは街の誇りだった。  バラ色と思われたジョンの人生は、交通事故で最愛の妻と息子を失うという試練のもと、崩れ去った。
 生きる気力をなくし、自死寸前だったジョンを救ったのは、少年野球の仲間だったジョンの誘いだった。指導者として、少年野球にかかることを進めてくれたのだ。
 そこで、ジョンは、亡くなった息子そっくりのティモシーに出会った。
 小柄で動きの鈍い少年は、ひたむきに生きていた。
 「毎日、毎日、あらゆる面で、僕はどんどんよくなっている」
 すべての面で運が良いとは言えない少年の心は、常に前を向いて感謝して生きていた。
 そして、彼の信条である
 「あきらめるな!あきらめるな!絶対、絶対、あきらめるな!」はチームの合言葉となった、 チームはリーグ優勝を果たした
 しかし、ティモシーは…
 2 おばあちゃんが 汽車だったはなし   作 神沢利子
「ずーとむかし、おばあちゃんは汽車だったのよ」と、孫たちに話すおばあちゃん。
 石炭を運ぶ軽便鉄道の汽車だった時の話
 「からだじゅうにあせをかいて、野っ原を一日中かけてたことがあったさ・」
 ライチョウが飛ぶ北の国
 機関車を運転するのは機関手さん
 石炭をくべて手伝う見習いの少年
 野バラの原をかけて、カバの林を抜けたところにある一軒家。その横を通り過ぎる時、風呂敷包みを差し出す女の人と小さな女の子います。見習いさんの家族です。風呂敷包みは見習いさんのお弁当
 ある日、小さな女の子が傷ついたコハクチョウを抱えて待っていました。
 機関手さんは、コハクチョウを受け取って、大きくうなずきました。
 しばらくして、機関手さんが、女の子に包みを渡しました。「コハクチョウから預かったよ」と。傷がいえ、無事にコハクチョウは飛び立ったそうです。
 コハクチョウから、女の子へのお礼は、赤いリボンでした
 その日から、カバの林の脇で列車を待っていた赤いリボンを付けた女の子が差し出した見習いさんへのお弁当に、機関手さんの為にお結びが添えられるようになりました。
 3 トロッコ      芥川 龍之介 作
 

良一が、八歳の時の事でした。家の近くに新しく鉄道が引かれることになって、良一は工事の現
場を見に行きました。工事現場は活気があって、ワクワクします。特に現場から土を運び出すトロッコが良一は好きでした。
 トロッコは魅力的で、工事の小父さんの隙を見て悪戯して叱られたり…。でも、トロッコに触りたいな、押したいなという気持ちは消えません。
 ある日、良一は、優しそうな工事のお兄さんに頼んで、トロッコを押させてもらう事が出来ました。
喜んで、お兄さんたちとトロッコを押してゆくうちに…。
竹やぶを過ぎ、雑木林を通り抜け、高い崖のむこうに海が見えて来て…。
 とんでもなく遠くに来てしまったことを知った良一は、心細くなりました。そして、お兄さんたちに「帰りな」と言われて…。
 日の落ちた山の中を、一人で引き返すことになった良一。泣きそうになりましたが、泣いている場合じゃないと必死で来た道を一人で戻りました。必死の思いで走り続け、暗い道を無我夢中で走り抜け、家の玄関に飛び込んで!良一は大きな声で泣きました。
 その時のことを、良一は大人になっても時々思い出しました。

子どもの頃、好奇心からやってしまった失敗が、なぜか今でも心に引っかかっているということはありませんか?私が六歳だった頃。そのころ住んでいた西銀座七丁目では、「ドンガラガッタ、ガッタ、ガッタ」と太鼓を叩いて触れ回る「ドンガラガッタ」と呼ばれていた引き売りのおもちゃさんが、時々店を開きました。紙風船やら竹とんぼやら子どもにとっては手が届きそうな魅力的なおもちゃたち。ある時、なぜか私は店先に一人、風船を膨らまし口を離すと「ブオ~ン」と大きな音を立てるおもちゃを吹いてみたら、風船が割れてしまって!私は逃げ出しました。その日だけではありません。太鼓の音を聞くたびに家に逃げ帰り、息を潜めていたことが忘れられません。この話を読んで、主人公の後悔の念に強く共感したのを覚えています。
 4 ジーキル博士とハイド氏  
                  
スティーヴンスン・作

護士アスタンは、依頼人のジーキル博士から預かった遺言書の内容が気になって仕方がなかった。ジーキル博士の死後、もくは博士が行方不明になった時にはジーキル博士の財産総てをハイド氏に譲るというものだったからだ。

 アスタンの知る限りでは、ハイド氏ほど評判の悪い人はいなかった。良くないところに出入りしているという悪評だけではなく、ある時は人を踏みつけて大けがを負わせたというものだった。ぶつかって倒れた少女を助け起こすではなく、その体を踏みつけたという光景は、目撃した者の心を凍らせた。謝りもせず、その償いとして高額の小切手を差し出して恥じるところがなかったという。しかもその小切手の支払人はジーキル博士。

 「ジーキル博士はハイドにたかられている」

 その原因はアスタンの知るところではないが、これは、依頼人の由々しき問題だと、アスタンは調べることにした。と、ある晩。ハイドによる、紳士の虐殺事件が起こった。出会いがしらの紳士を持っていたステッキで滅多打ちにして殺したというものだった。ジーキル博士に確認しようにも博士が見つからない。博士の身に何が起こったのか?ジーキル博士はみつからないまま、博士の実験室でハイドの死体が発見された。そして、その真相を打ち明けた手紙を、アスタンは受け取った。その内容は…。
 他人にも自分にも厳しかったジーキル博士は、その実、悪徳への欲求が強く、快楽を求める気質だったと書いてあった。自分の中に内在するその二つの気質を満足させるために、ジーキル博士は、別人になる薬を探し、作り出した。その結果、品行方正な医師ジーキルと見るもおぞましいハイドの二人の間を行きするようになったと。しかし、度重なる薬の使用で、変身が上手くいかなくなり、再度調合した薬の原料の所為もあって、ジーキル博士は、ハイドに飲み込まれてしまったという内容だった。
 5 若草物語  ルイザ・メイ・オ―ルコット・作 

この物語の舞台となるマーチ家は、ボストン近郊に住む、中流家庭です。マーチ氏は、以前は、かなり裕福な暮らしをしていましたが、友人の不運を救おうとして破産。現在はつましく暮らす状況になりました。時は南北戦争勃発の頃。軍人として働くほどは若くなかったマーチ氏は、従軍牧師として前線に就いていきました。残されたマーチ夫人は、軍人援護会で、戦地に送る衣類の縫製をしたり、従軍した兵士の留守家族の世話をする仕事をしていました。家の事は、ばあやのハンナの仕事。ハンナは、寒い朝には温かいパンを焼いたり、来客のためにパイを焼いたり尽くしました。マーチ家には、四人の姉妹が居ました。メグと呼ばれるマーガレット、16歳。ジョーと呼ばれるジョゼフィーン、15歳。ベスと呼ばれるエリザベス13歳。そして末っ子のエイミーです。
 マーチ家の隣家は、輸入業の裕福なローレンス家。気難し屋のローレンス氏は、姉妹たち、とくに三女のべスがお気に入り。陰ながら援助の手を差し伸べます。ピアノ好きのべスには、早くに死んでしまった孫娘の形見のピアノを贈ったほどです。ローレンス家の跡取り、孫のローリーもマーチ家が大好きでした。とりわけジョーとは気が合いました。
 マーチ家の長女、メグは、色白でふくよかで、きれいな手をした、器量よし。お針仕事が得意で、きれいなものが大好きでした。気持ちを抑えてはいましたが、贅沢への憧れを引きずっていました。上流家庭のモファット家に2週間招待された時の喜びはそれはそれは大きくて!ぜいたくな食事をしたり、立派な馬車を乗り回したり、毎日とっておきの衣装を着たり、お愉しみ三昧の生活の中にいるのを快く思いました。そして、貧しい自分を恥じるようになっていました。しかし、本当の価値観を見出し、自分の馬鹿さに気付き、「お金こそ人生の一番の目的だなんて思ってほしくない。しあわせで、愛されているなら、貧乏人の奥さんでもいい。心の誇りと平和な家庭が一番」というマーチ夫人の言葉に深くうなずきました。そして、地位も財産も無いけれど、メグを深く愛してくれる心優しいローリーの家庭教師ジョン・ブルックと結ばれました。
 次女のジョーはとてものっぽで、手足が長く、色黒で仔馬の様でした。言葉遣いも乱暴で、まるで男の様でした。実際、ジョーは自分が男の子に生まれなかった事を悔しく思っていました。本を読むのが大好きで、あれこれ思いついた事をやってみるのも大好きでした。時には迷惑なことで!
 メグとジョーは、お父様が破産するという窮地に立った時、「私にも働かせて下さい」と自立を申し出て、メグは家庭教師を、ジョーは大伯母さんの話相手の仕事を始めました。三女のべスは、並外れた恥ずかしがりやで、幼いころから学校へ行くことはせずに家で勉強する道を選びました。ピアノが大好きで、ハンナの手伝いも良くしました。エイミーは、末っ子らしい愛らしいところがある反面、少しうぬぼれ屋さんだとお姉さんたちには思われていました。絵を描くことが大好きで、自分の花壇には個性的な東屋を作っていました。熱心なクリスチャンである両親の教えに従って、心正しく、つましく、平和に暮らす姉妹。
 でも、娘盛りの四人には、次から次と試練がおとずれます。贅沢は良くないこととわかってはいるけれども…、きれいなレースもリボンも欲しい。みんなは絹のドレスを着ているのに…アイロンの焼け焦げのついたドレスでダンスパーティーに行った時の慌てぶり。つい見得に負けて、友達のドレスを借りてパーティーに出て、深く心が傷ついた事。様々な出来事を通じて、4人は成長していきます。
 クリスマスの朝、クリスマスの特別なご馳走を「貧しいご近所さん」に届けた話もありました。薪が買えなくて、火の気のない家で、一つのベッドに6人の子どもがお腹を空かせて寝ていたのを見て、四人は手を貸します。ご近所さんは、お母様とハンナの働きもあって、過ごしやすい部屋を取り戻す。でも、マーチ家はクリスマスのご馳走とはさようなら。新たに用意する経済的な余裕は、マーチ家にはありません。「今年は、クリスマスのご馳走は我慢」と思ったら…!素晴らしいクリスマスディナーが届きました。おとなりのローレンス家からのプレゼントでした。姉妹の様子をハンナがローレンス家のメイドに話して、その話を御当主のローレンス氏が小耳にはさんで・・・。
 これ以来、マーチ家とローレンス家は近しく行き来するようになりました。
 マーチ家にとって最大の試練は、マーチ氏が戦地で負傷したという知らせでした。急いで、ワシントンの病院へ駆けつけなければなりません。こんな時、経済的に頼れるのは、大伯母さんしかありません。沢山の嫌味と引き換えに少しのお金を借りたジョーは、その道すがら、大胆な行動に出ました。見事な自分の髪を売って、お金にしたのです。この時代、ショートカットの女の人はいません。「お父様に、この家を守ると約束したから」とジョーは毅然と言いました。が、その晩、ベッドで忍び泣きをしたジョー。
 マーチ夫人の留守は続きました。それほど、マーチ氏の容態は悪かったのです。
 その間に、留守宅にも困難が!
 優しい気持ちのべスが、マーチ夫人の代わりに、気の毒なフンメルさんの家に子どもの世話に行っていたのです。フンメルさんの家の子どもたちは、伝染病のしょう紅熱に掛かっていたのでした。赤ちゃんは、ベスの腕の中で死んだ…・当然、べスも発病して、生死の先をさまよいます。急いでワシントンから帰宅したマーチ夫人が見たものは…、衰弱しきった娘でした。幸い、ベスは一命をとりとめましたが、病弱な身になりました。
 エイミーは、学校に行っていましたが、些細なことで体罰を受ける羽目になり、マーチ夫人は毅然とエミリーを退学させました。「学校にお任せできません。この子は、私が教育致します」と。
 マーチ家の姉妹とローリーは、家庭新聞を出したり、庭にポストを設けて私設郵便屋を開いたり、思い思いの趣向で、夫々の花壇に花を咲かせたりと、心豊かな平和な日々を過ごしました。
 マーチ氏も無事回復して帰宅。そんな折、メグにロマンスが持ち上がり、姉妹たちは、成長のステップをもう一段上がります
 6 黒猫 作・エドガー・アラン・ポー
主人公の男は、幼いころは優しい気持ちの持ち主で、生き物、動物が大好きでした。
 若くして結婚した相手も、同じく男と同じ気持ちの持ち主だったので、小鳥、キンギョ、犬、ウサギ、子ザル、それから猫などを飼って暮らしました。中でも、真っ黒な猫を可愛がりました。猫もとてもなついていました。 ところが、男は酒を覚えると、酒におぼれて、すっかり人格が変わり、小動物に乱暴に当たるようになりました。そして、ついに黒猫の片目をえぐり出すことまでしたのです。
 お酒を飲んでいないときは、自分のしたことを反省して心を痛めるのですが、その心の痛みを忘れたくて酒を飲むというさまで、ある時猫を庭の木の枝に縄でつるして、殺しました。その晩、男の家は火事になり壁ひとつを残して焼けてしまったのです。焼け残ったその壁には…。
 吊るされて殺された、猫の影がくっきりと浮かび上がっていました 貧しくなった男は、小さな家に移り住みました。男は、黒い猫の事が忘れられず、いつしか黒い猫の面影を求めていました。そしてついに男は、場末の酒場であの猫にそっくりの黒い猫を見つけ家に連れ帰りました。わざわざ探し求めたにもかかわらず、男は黒猫に乱暴に当たらずにはいられませんでした。連れ帰って初めて気が付いたのですが、今度の猫も片目だったからです。男の心はかき乱されて、猫に手を上げました。上げたその手には斧!男が振り下ろした斧は、猫ではなく、止めに入った妻の頭に当たり! 男は妻を惨殺してしまったのです。
 その死体の処理に困った男は、地下室のレンガの壁に、妻を塗り込めました。男の心は、なぜか少しも傷みませんでした。
 その時から、ぴたりと黒猫は姿を見せなくなりました。
 男の妻が行方不明になったことで警察が動き、男の家にも捜索に来ましたが見つかりません。三度目の捜索で、地下室に降りた警官たちは、猫の鳴き声を耳にしました。不思議なことに声は、レンガ壁の中から聞こえてきたのです。
 警官たちが壁を壊してみると…
 妻の死体とその頭上に乗ってにゃーにゃ―と声をあげている黒い猫がいて…。
 猫は、いつ、どこから壁に入り込んでしまったのか…。
 なんとも,怪奇な話です。
 7 あしながおじさん 作・ウェブスター 
アボットは孤児で、孤児院で育った。外の世界を知らずに育った少女で、想像力が豊かなで大きな憧れを持っていた。学力にも優れていたので、孤児院の評議員の好意で大学へ進学できることになった。援助の条件は、月に一度支援者であるジョン・スミス氏に手紙を書くこと。大学へ行けるということは、アボットにとって未来への扉が大きく開かれたた事を意味した。
孤児院を出たアボットは、初めて自分の持ち物を持ち、初めて自分のお金を使い、初めて汽車に乗った。
アボットは、約束通り、学校での生活をスミス氏に報告する手紙を書き続けた。
普通の生活さえ知らなかったアボットにとって、上流階級の令嬢方々との生活は珍しくもあり、場違いでもあった
アボットは、自分の無知を恥じ、夢中で読書をしてその穴を埋める努力をした。
贅沢な様にあこがれを持つ時期もあったが、アボットは聡明に大切なのは心であると、勉学にいそしんだ。
二年目からは、スミス氏の反対を押し切って奨学金を受けて、分相応な生活をすることを選んだ。自分が孤児院育ちであることに負い目を感じ、周囲には秘密にしていたが、学ぶうちに、様々な経験を積むうちに、素直に境遇を受け入れ、その経験にも感謝するようになっていった。本当に価値あるものを見分ける力が付いたのだ。
そんな成長の中で出会った「ジャーヴィー坊ちゃん」にアボットは恋をした。
けれども、上流階級の彼にとって自分の生い立ちは余りにも相応しくないと身を引いたが・・・
ジョン・スミス氏が「ジャーヴィー坊ちゃん」と同一人物であると判明して!!
     

8 ニルスのふしぎな旅  ラーゲルルーブ・作

スウェーデン南部の田舎に住むニルスは、わんぱくで、時にはいたずらが過ぎて動物をいじめてしまう少年でした。ニルスの乱暴には両親もほとほと手を焼いて困り果てていました。ニルスも、自分はお父さんからもお母さんからも愛されていないといじけていました。それでも、乱暴はやみません。

 ある日曜日の朝、教会にも行かないで、留守番を決め込んでいたニルスは、妖精のトムテを捕まえて悪戯を仕掛けました。とこらが反対にトルテに魔法をかけられて小人にされてしまいました。小人にされたニルスは、動物たちの言葉がわかるようになりましたが、普段ニルスにいじめられていた家畜たちがニルスに仕返しをはじめて、ニルスは大変!

 その頃、庭では、ニルスの家で飼われているガチョウのモルテンが、ガンの群れに「飛べない鳥!」とからかわれ、悔しくて力いっぱい飛び立ちました。それを見たニルスは、無我夢中でモルテンに飛び乗りしがみつきました。モルテンは、お母さんが大事にしている太ったガチョウだからです。逃がすわけにはいかないと思ったんです。

 これがきっかけで、ニルスとモルテンは、女隊長アッカの率いるガンの群れと一緒にラップランドを目指して長い長い冒険の旅に出かけることになりました。でも、人間のニルスには困難と試練の連続。ニルスが沼地の葦の茂みの間で寝ることができるでしょうか?何を食べたらいいの?ニルスはモルテンの翼の間で休ませてもらいました。生の魚も生まれて初めて口にしました。草の実、木の実、パンのくず何でも食べました。鳥たちの助けがなければ生きてゆけない。ニルスには感謝の心が芽生え、自分も皆の助けになろうと頑張りました。ニルスは人間の言葉が理解できるので大いに役立ったのです。

 その後、トルテに「魔法を解いてやろうか」といわれた時も、仲間たちとのラップランドへの旅を選んだほどニルスは冒険の旅に心惹かれていました。しかし、冒険に危険はつきもの、死にそうな目に遭ったのも一度二度ではありません。その度、ニルスは仲間に助けられ、ニルスも仲間のガンの命を救ったり小さな動物を守ってあげたりしているうちに、小鳥や動物に好かれ信頼される少年へと成長してゆきます。そして、帰宅の時が来ました。帰り着いた我が家に待っていたのは…?

お父さん、お母さんは?それは、読んでのお愉しみ。

 読者である私は、ニルスと一緒に空の旅と地上の旅を満喫しました。スウェーデン各地の様子。穀倉地帯あり、工業地帯あり、海辺の町あり。様々な人の暮らしとそこにまつわる昔話を楽しみました。昔は、巨人やトロルや妖精が住んでいた国です。興味深い話が沢山です。

 この本は、小さな物語がいくつも鎖の様に繋がった物語です。様々な物語それぞれが面白かったのですが、ひと際心に残ったのは「マガモのヤッロ」の話でした。かいつまんで紹介します。

東ヨーク平野にあるトーケルン湖は干拓される途中でした。でもなかなか湖の干拓は進みませんでした。湖は水辺にすむ生き物にとっては楽園でした。そこに住んでいた若いマガモが猟師の鉄砲に打たれ傷つき倒れたのですが、農家の奥さんに助けられヤッロと呼ばれそこに住み着くことになりました。恐ろしい猟犬のセサールとも心を通わせ、この家の三歳の男の子ペール・オーラと仲良くなりました。ヤッロがこの暮らしが好きになり始めたころ、湖に連れてゆかれ縄で縛られました。ヤッロはもがいて鳴き声を上げました。その声を聞きつけたマガモの仲間がやってくると!待ち受けていた猟師に打たれる…。ロッコは囮として生かされていたのです。その時、小さな人間(ニルス)がヤッロの縄を切って「ヤッロ、逃げろ」と逃がしてくれた。セサールもそれを見逃してくれたのです。でも、三歳のペール・オーラは、諦められませんでした。湖にヤッロをさしに行きました。ペール・オーラが居なくなったのを知った奥さんは、探し回りました。でも、日が暮れてもペール・オーラは見つかりません。悲しみにくれながら奥さんは考えました。(人間と他の生き物も変わりがないかもしれない。マガモも子どもを失ったとき心配だったろう)と。その時セサールが奥さんを外に連れ出しました。その先にいたのは、ペール・オーラでした。このことがあって、農家の奥さんと主人は考えました。(湖を干拓するのは有益なことに違いないけど…多くの生き物が住んでいるこの湖でなくてもいいわ)と。そして、干拓の契約にサインをしないことにしました。
 9 ママの銀行預金  キャスリン・フォーブス・作

私は、こどもだったころ、ガストロ街の小さなアパートに、両親と兄と3人の妹の7人で住んでいました。アパートには、ママの姉妹の4人のおばさんとママのおじさんも遊びに来ていました。懐かしい街…懐かしい家!懐かしいみんな!でも一番懐かしく思い出すのはママの事。
 毎週土曜日になると、みんなは台所に集まって、ママを囲んで、パパが持ってきた封筒の中身を数えました。パパはお給金を一週間分ずつもらいました。支払いも一週間分でした。ママは、銀貨を数え、山を作りました・「これが家賃。これが食料品屋さんへ。これが靴の修理代」私と兄さんが言いました。「来週、もう一冊ノートがいるの…」ママは、銅貨を少しわきによけました。私たちは、息をひそめて、銅貨の行方を見つめました。「それで全部かい?」パパの声にうなずき、ママは、「すてき、これで銀行へ行かなくてすむわね」と、にっこり笑いました。
 ママの銀行預金!これがあるから、つつましい暮らしも安心だとみんなは思っていました。うちには、「小さな銀行」もありました。きれいな色の箱にお金を貯めて入れてありました。病院代だとか薬代だとか、急に必要になったお金をそこから出します。兄さんが、上の学校に行きたいと思ったとき、小さな銀行では足りませんでした。でも、パパがたばこを辞めることにして、兄さんがアルバイトを探して、私もベビーシッターをすることにして、「ママの銀行預金」には手を付けずに済ませました。
 パパの会社でストライキが起きて、収入がなくなった時も、パパもママもアルバイトを探して、節約を工夫して、「大きな銀行、ママの銀行預金」には手を付けませんでした。力を合わせて困難を乗り切る、これはまるでゲームのようでした。
 私は大人になって、このママの思い出を描いた原稿が売れたとき、もらった原稿料をママにあげました。「ママの銀行預金にいれてちょうだい」といって。その時、ママがいいました。「銀行預金なんて無いのよ。私
 
10 点子ちゃんとアントン エーリヒ・ケストナー作

点子ちゃんの本当の名前は、ルイーズ。でも、皆はあだ名の「点子ちゃん」としか呼びません。点子ちゃんって変なあだ名でしょ、生まれてすぐにはとても小さな赤ちゃんで、なかなか大きくならなかったから「点子ちゃん」ですって。いまは、普通の大きさの?女の子です。
 点子ちゃんのお父さんはステッキ工場の社長さんで、たいそうなお金持ちです。ベルリンの中心地に部屋数10個の大きな屋敷を構えています。立派な車も持っていて、専用の運転手もいます。女中さんは太っちょのベルトさん。そして、住み込みの養育係のアンダハトさん。養育係って?ママの代わりに、点子ちゃんにつきっきりで御世話をするというか…あれこれ言う人です。点子ちゃんのママはどうしているかって?お買い物に行ったり、美容院へ行ったり、友達とお茶をしたり、コンサートへ行ったり、パーティーへ行ったり、忙しいんです。
 アンダハトさんが、養育係になってからというもの、点子ちゃんは疲れているようで、日に日に顔色が悪くなっいきました。無理もないんです。それには秘密がありました。パパもママも、夜は外出です。太っちょのベルタさんが三階の自分の部屋に上がると、アンダハトさんは、点子ちゃんを着替えさせて外へ連れ出しました。
 ヴァイデンダム橋は、交通量の多い賑やかなところです。その橋の中頃で、「マッチはいかがですか」と哀れな声でマッチ売りをさせられているのが点子ちゃん。ぼろぼろの服を着せられています。傍で眼の見えない母親役をしているが、アンダハトさん。アンダハトさんは、点子ちゃんにマッチを売らせて儲けていたんです。何のために?アンダハトさんは、ボーイフレンドにお金を貢ぐために点子ちゃんを使っていたんです!そんなお金を平気でもらうボーイフレンドなんて、ろくな男ではないと誰でも気づきそうですが…。
 点子ちゃんは、変なことだなと思いましたが、パパとママが決めた養育係のすることだからそれに従うしかないと思いっていました。それに、橋で知り合った靴紐売りのアントン君と友達になっていましたから。アントン君に会うのは楽しい.
 アントン君の家は、点子ちゃんとは大違い。貧しい人々が住む町に住んでいました。ぼろいアパートの五階です。アントン君のお母さんは大きな手術をしたばかりで、ベッドから離れられません。お父さんも兄弟もいないアントン君の家では、アントン君が働いて、家事をして、学校に行ってと、一人で何もかもするしかありませんでした。家賃の工面までしなければならい。生活環境の違う点子ちゃんとアントン君ですが、気持ちが通じ合い、仲良しでした。
 ある晩、アントン君は、アンダハトさんが点子ちゃんの家の見取り図らしものをボーイフレンドへ渡すのを見て、ピンときました。「よくないことが起こるぞ!」
 アントン君は、太っちょのベルタさんへ電話して、「間も無く泥棒が入ります、用心してください」と伝えます。ベルタさんは、すぐに交番へ電話して、おまわりさんを呼び、自分は伸し棒を抱えてドアの後ろに隠れました。
 アントン君は、電話のあとすぐに、点子ちゃんのパパをオペラハウスに呼びに行き、点子ちゃんがマッチ売りをしている姿を見せました。
 点子ちゃんのパパの驚きといったらありません。すぐさま、アンダハトさんをとっちめて、家に引きずって帰りました。家に帰ってみると、またまたびっくり!家に泥棒が入っていたではないですか!幸い、太っちょのベルタさんの活躍で、泥棒達はおまわりさんに捕まっていましたが。

そして…。アンダハトさんは首になり、代わりにアントン君のお母さんが、点子ちゃんのお世話をして物事の良しあしを教えてくれることになりました。勿論「住み込み」でです。アントン君も一緒。アントン君は緑色の壁紙の自分部屋を持つことができるようになったんです。めでたしめでたし。
 

11 風の中の子供 坪田譲治・作

善太と三平はわんぱく盛りの兄弟です。悪戯を仕掛けあったり、喧嘩をしたり。二人のお父さんは、テープや紐を織る工場の専務でした。呑気にのびのびと暮らしていた二人に、思いがけない災難が降りかかりました お父さんが、重要な書類を偽造したと訴えられ、警察に捕まってしまったのです。有罪は動かせない事実の様でした。会社を追われるだけでなく、家もすべての家財道具も会社に差し押さえられてしまいました。生活のめども立ちません。お母さんが、善太を連れて病院に住み込みで働くことになりました。善太も犬の散歩や雑用をするという条件付きです。幼い三平は、おじさんの家に引き取られてゆきました。おじさんは、三平を、大学を卒業するまで面倒みるといってくれましたが、おばさんは大反対。三平を厄介者だと疎みました。しかも、三平のおとうさんを犯罪者扱いして!三平は、やり場のない悲しみから、高い木に登って大人を驚かせたり、たらいに乗って川を下って遭難しそうになったり、沼のほとりから行方不明になって山狩りをする大事件になったり。とうとう三平は、家に戻されました。
 それでも、先行きは暗澹としています。お父さんを非難する大人の目から逃れようと、善太と三平は差し押さえから逃れたブランコに乗りました。五六度ゆすると交代し、しまいには一度ゆすっただけで交代です。次には柿の木に登って、登ったと思ったら下りる。何度も繰り返し、膝を擦りむいたたり、尻もちをついたり。家の周りをまわる回る競争をして。何でもいい、疲れきるまで動き回って気を紛らしましたが、悲しみは消えません。お母さんが川をのぞき込んで、うっとり笑ったときには、三平はもう一度おじさんの家に行くとお母さんに約束してしまいます。親子三人、疲れ果てていました。その時、一冊の古いノートが目に留まって。その間からはらりと落ちてきたのが、お父さんが偽造したと疑われている書類の元となった、本物の書類でした。「これで、お父さんの無実が証明できる」

ほんの十日間の出来事でしたが、一年にも思える激動の日々でした。お父さんは専務に返り咲き、平和な日々が戻りまし。

 

12 秘密の花園 フランシス・ホジソン・バーネット 作

この物語の主人公メアリーは、お父さんの赴任地のインドに生まれ、インドで育ちましたが、一度に両親を失い、両親の故郷イギリスに住む伯父のところに送り返されました。召使に世話をされ、両親に愛された記憶のないメアリーは、わがままで気難しい感じの悪い子でした。 叔父さんの家は、荒涼としたムーアの中にあり陰気な屋敷で、メアリーは孤独で不自由な生活を送る羽目に落ち行ったことに腹を立てて癇癪を爆発させていたので、誰からも愛されませんでした。 そんな折、メアリーは庭にいたコマドリと仲良くなり、少しづつ自然に親しんでゆきました。快活な小間使いのマーサとその弟のディコンとも親しくなって、メアリーは変わってゆきました。ある日、メアリーは庭の片隅に、壁に囲まれた入り口には鍵のかけられた秘密の園を見つけました。その園は、伯母さんが愛した庭で、伯母さんの死をきっかけに閉じられてしまったのでした。庭を閉じた伯父さんは、心も閉ざして、家を離れ旅に出かけてしまったのです。ひょんなきっかけで、その庭のカギを見つけたメアリーは、死んだと思われていたに庭は、実は植物たちが芽吹いていることを発見し、園をよみがえらせようとディコンの助けを借りて、朝早くから日が暮れるまで、一生懸命働き始めました。メアリーは、何時の間にか、元気で快活な娘に変わっていったのです。

同じころ、伯父さんの息子の従弟のコリンの存在を知りました。コリンは、自分は間もなく死ぬのだと固く信じている少年で、以前のメアリーのように意固地で不機嫌な子供でした。愛されたことないコリンの不安は、メアリーには痛いほどわかりました。そこで、メアリーは、コリンを外へ連れ出すことにしたのです。自分がそうであったように、コリンも自然に触れれば健康になると思えたからです。この挑戦はかなり困難なことでしたが、とうとうメアリーはコリンを外へ連れ出すことに成功しました。そして、メアリーとコリンとヂィコンの三人は、閉ざされていた園を、見事な花園に生まれ変わらせたのでした。その陰には、庭師のおじいさんの助けも必要でしたが。
 生まれ変わった庭をみて、伯父さんの心も開いたのでした。 

 

13 小僧の神様     志賀直哉・作

 仙吉は神田のあるお店に奉公している小僧さんでした。お店の番頭さんたちが、「あのうまい鮨屋」についておしゃべりするのを聞いていて、仙吉は、こっそりツバを飲み込みました。自分も早く番頭さんになって、そんなお店に行ける身分になりたいなと思いました。それから間もなく、お使いに行かされた仙吉は、噂の鮨屋の前を通りかかりました。往復の電車賃はもらってあります。帰り道、電車にならずに歩けば、一個位は、鮨が食べられるかもしれない。そう思って、屋台の鮨屋をのぞいてみました。その屋台には、Aが先客で入っていました。そこへ、ひょいと顔を出した小僧さんが、店の台に並べてあったまぐろの握りに手を伸ばしました。「一つ六銭だよ」と言われて、慌てて手を引っ込めて、小僧さんは恥ずかしそうに店を出ていくのを見て、Aは、なんだか可哀そうになりました。ある日、Aが買い物をしようと入った店に、あの時の小僧、仙吉がいました。そこで、Aは買い物をし、その荷物の配達を小僧さんに頼みました。荷物を持った仙吉を連れて、Aは、鮨屋に連れてゆきました。小僧の仙吉に、鮨を腹一杯食べさせてあげようと計画したのです。Aは、鮨屋に代金を渡し、仙吉を頼むと買い物した荷物をもって帰って行きました。仙吉は、訳が分かりませんでしたが、お鮨を三人前平らげて、お腹いっぱいになりました。「又食べに来てくださいよ、お代はまだたくさんいただいてあるんですから」とお店のおかみさんに言われた仙吉は、ただむやみとお辞儀をして店を出ました。仙吉は不思議でたまりませんでした。自分が鮨屋で恥をかいたことをあの人はどうして知ったのかしら?だから、自分を鮨屋に連れて行ってくれたのだろうか?あんなにご馳走してくれて! もしかしたら、何から何までお見通しの神様か、仙人か。
 仙吉には「あの客」が忘れられませんでした。 彼は、悲しい時、苦しい時に必ず「あの客」を想いました。想うだけで、慰めとなったからです。そして、いつかまた、思いがけない幸運をもって自分の前に現れると信じていました。
 小僧に鮨をご馳走したAは、変な気持でした。寂しいような気持でした。余計なことをしてしまったのではないか、あんなことをして、あの小僧に良かったのだろうかと。

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