くぅばーたん 福になる9サーちゃんの未来

 「ねー、ばーちゃん。聞きたい事が有るんだけど」

 と、いって、サーちゃんがやってきた。

 キッチンのテーブルにミシンを持ち出して、ズボンを縫っていたくぅばーたんは、

 「ちょうど、一休みしようと思ってた所」

 と、立ち上がった。

 その時、時計が五時を打った。

 「あら、もうこんな時間?今からおやつを食べたら、ママに叱られるわね」

 「大丈夫。あたし、お腹ぺこぺこだから」

 「ご飯も沢山食べてよ」

 そういいながら、くぅばーたんは、紅茶とバターケーキを出した。

 バターケーキをほうばりながら、サーちゃんは質問。

 「あたしさー、大きくなったら何になれば良いと思う?」

 「それは、サーちゃんが、自分で決める事でしょう」

 「そうだけど、ばーちゃんの意見も聞きたいわけ」

 くぅばーたんは、首を傾げて、

 「どうして人の意見を聞きたいのか、その訳を、先に聞きたいわ」

 と、紅茶をすすった。

 サーちゃんも、一口紅茶を飲んで言った。

 「あたしは、ママみたいなデザイナーが良いなって思ってたのよ。だけどママは「つまん無い

仕事だ」って。それで、パパみたいに、お芝居をする人になろうかなって思ったら「金にならな

いからよせ」って言われて、美鈴さんみたいに幼稚園の先生が良いかなって思ったら「将来性が

無い」っていわれたの」

 「まー、夢の無いことを言う大人達ね」

 「キーちゃんみたいなミュージシャンも、谷さんみたいな写真家も面白そうだけど、二人とも

貧乏そうだし」

 その言葉に、くぅばーたんが、クスッと笑った。

 「たしかに、鋭い観察眼ね。でも、サーちゃんが、ここに居る大人達の様になりたいと思うの

は、どうしてかしら?」

 「だって、皆、楽しいんだもん。先生が、『生き生きと輝いていられる仕事が、その人に向い

ている仕事だ。やりがいがあって、人の役に立つ仕事。それを見つけなさい』って。楽しいの

は、生き生きしてるからだよね」

 と、サーちゃんは、真面目な顔で言った。

 それから、こう続けた。

 「楽しそうで、人の役に立つ仕事は、ばあちゃんだと思うんだけど‥‥」

 「ばあちゃんって、おばあさん?」

 「ううん。うちのばーちゃん」

 「あたしの仕事?」

 くぅばーたんは、自分が、四歳の時に、自分のおばあちゃんを見て、「ばあちゃんになりた

い」と思った事を、思い出した。

 「でもね、ほんと言うと、あたしは、アナウンサーか、タレントが向いてると思うのよね」

 と、サーちゃんは、溜め息をついた。