くぅばーたん 福になる6「二人でお茶を!」

 冬休み最後の日の午後。

 サーちゃんは、くぅばーたんとお茶だ。

 「昨日のケーキ、ぜんぜん、一切れも残ってないの?」

 サーちゃんは、疑わしそうにキッチンを見渡した。

 「残ってないのよ。有れば、サーちゃんに出さないわけが無いでしょ。可愛いサーちゃんだも

の」

 そういって、くぅばーたんは、頂き物のどら焼きを、菓子皿に盛った。

 サーちゃんは、それを一口かじって言った。

 「そうかな。あたし、可愛いかな。大きくなって来たから、もう可愛くないって」

 「だれが?」

 「だれかさんが」

 たしかに、四歳のミーちゃんと比べれば、愛らしさでは敵わないなと、くぅばーたんは思っ

て、慌てて首を振った。

 「そんな馬鹿なこと言う人は、相手にしない方が良いわ。サーちゃんとおしゃべりするの、

ばーちゃんは大好きよ」

 「そうだよね。チビじゃ、相手になんないもんね」

 サーちゃんは、そう言って、にこっと笑った。

 「ええ、サーちゃんの笑顔は、世界一」

 くぅばーたんは、可愛い孫達に囲まれて暮らす自分を、幸せ者だと思っている。

 渋茶をすすりながら、おしゃべりは続く。

 「この間、ディズニーランドに行った時のお弁当、おいしかったよ。ホテルで食べた」

 「そう、それは良かった。ディズニーランドは、楽しかった?」

 「めちゃ、楽しい!もう、あたしはシンデレラのとりこよ。あたし、これからは、水色で、洋

服も持ち物もコーディネートするわ」

 「あらあら、それは‥‥‥」

 (たいへん!)といいかけて、くぅばーたんは口を押さえた。

 サーちゃには、小さい時から色にこだわる癖があって、何もかも、お気に入りの色で決めたが

る。それは、赤だったり、緑だったり、ピンクだったり。

 ピンクのトレーナーに、ピンクのジーパン。ピンクのスニィカーにピンクのカバンにピンクの

リボンというふうに。

 「でも、シンデレラは水色なの?」

 「そうだよ、ばーちゃん知らないの!」

 「うーん、忘れたのよね。私が『シンデレラ』の映画を見に行ったのは、小学生の時で‥‥、

五十年以上も昔の事だから」

 「えーっ!シンデレラって、そんな昔から居たの」

 「ええ。『シンデレラ』と『白雪姫』と『バンビ』と『ダンボ』どれも、子どもの時に、東京

まで見に行ってね‥‥」

 「東京まで?変な言い方」

 「昔は、新宿へ行く事を、『東京に行く』って言ったのよ。今は、新宿も横浜も近くなったけ

ど、昔は電車の便が悪かったから、チョットした旅行気分だったのよ」

 くぅばーたんとサーちゃんのおしゃべりは、つきない。