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くぅばーたん 福になる32「雛の宵」 |
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「子ども達は、どこ行ったのかしら」 麗さんが、雛あられを、小さなビニール袋に移し、野口の母ちゃんが、その口を、リボンで結 び閉めながら、おやつの用意。 「二号室で、リハーサル中」 「リハーサル?何すんの、子ども達」 千代紙で、お菓子を入れる箱を折っていた美鈴さんが、手を休めて聞いた。 「知らなかったの?今日の雛祭り会で、バンドやるんだって」 「あら、演芸会じゃないの?うちの子、漫才練習してたわよ」 麗さんと野口の母ちゃんの情報は、違う。 今、三人は、くぅばーたんの家のダイニングで、雛祭り会のおやつを用意している所だ。
「お母さん、今日は、何人なの?」 美鈴さんが、キッチンで茶碗蒸しを用意しているくぅばーたんに声をかけた。 「全員だから十五人よ。用意は出来た?」 「まだよ。入れるのは、雛あられに、桜餅に、笹団子?」 「笹団子は、蒸かしたてを出すわ」 くぅばーたんは、急がしそうだが楽しそう。 野口の母ちゃんが、声をひそめて、 「ワインは、冷えてるかな」 と、麗さんの顔を見た。 「今晩は、二号室でパーティーだからね。 あの部屋の下は、ワイン貯蔵庫で……」 「飲み頃が、飲み放題か?」 野口の母ちゃんと麗さんの目が輝く。 「どこでやっても、飲み放題でしょ。お二人さんは」 美鈴さんが、にらむ真似をした。 「違いねー。所で、又、珍客到来とか無いでしょうね」 「珍客って言えばさ、ライさん、五百万も置いてったのは何でかな」 話に乗る怜さんの声も、小さくなっていた。 「ルビーの指輪も入っていたって、あの袋に」 美鈴さんも、小声で参加。 「大家さんの事、ライさん、愛していて」 「お義母さんと結婚の約束とか?」 「それはない!二人が別れた時、ライさんは十二歳で、お母さんは六歳よ」 と、美鈴さんは笑ったが、思い直して、 「そうよね。その位の年頃って、すぐ結婚の約束するもんね。うちのクラスの子達も、年中婚 約したり、婚約破棄したりしてる」 と、うなずいた。 「バカな事言わないで。聞こえてますよ」 くぅばーたんが、振り返って。笑った。 「お金は、借金の返済よ。五百万円は、とてもじゃないけど多すぎるんけど、ライさんの感謝 の気持ちじゃね、返すのもねー。あたしね、ライ君が出て行く時、お金貸して上げたのよ、ブタ の貯金箱ごと。勿論返してくれるとは思っていなかったけどね。指輪も、あげたの。縁日で買っ てもらったガラス玉だけど、私は本物だと思ってたから、役に立つと思って………」 「凄い利子がついて帰って来た?」 「そう。指輪も本物になって!」 「マジ、スゲー!」 「お義母さん、大好きー!」 「何か、買ってー!ママー」 |