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くぅばーたん 福になる30「眠れぬ夜」 |
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(くーちゃんは、何か隠している) 五郎さんは、眠れぬままに、寝返りを打った。 (五郎さん、未だ起きてる) くぅばーたんは、そっと溜め息をついた。 (ライさんが来てからというもの、くーちゃんは、何事も上の空だ。何か変だ) 五郎さんに隠れて、「秘密の部屋」ヘ入りこんだり、屋根裏部屋へ隠れたり。 (おまけに子ども達だ。『かくれんぼだ』とサーちゃんは言っていたが……。サーちゃんの態 度は怪しい。タッ君に目配せをしたり、ナッちゃんを突いたり。あれは、口封じだ) 五郎さんは、ガバッと起き上がった。 「どうしたの、五郎さん」 くぅばーたんも、思わず起き上がって……。 「やっぱり、寝た振りをしていたな。寝た振りをして、ボクが眠るのを待っていたんだろう。 ボクが寝静まったら……」 「寝静まったら、なんですか?まるで、あたしが、秘密を隠しているような、アッ!」 くぅばーたんは、あわてて口を押さえたが、もう遅い。自分から、秘密が有ると白状しちゃっ た、くぅばーたん。 五郎さんが、くぅばーたんの手を取って、 「隠している秘密は、何?楽しい事かい」 くぅばーたんは、ううんと、くびを横に振った。 「やっぱり、悲しい事なんだね。又、ママの事だろう。ライさんが、くーちゃんのママの事 で、何か言ったの?」 ライさんのお父さんが、くぅばーたんのおじいちゃんにお世話になったお礼に、絵の勉強をし ていたくぅばーたんの両親のニューヨーク行きを手伝ったと言っていた。当然、それからも、二 人とは交流が有ったに違いないと、五郎さんはにらんだ。 「ライさんが、何をいったんだ」 五郎さんは、じっとくぅばーたんを見つめた。 その目を見返すくぅばーたんの目から、大粒の涙が、ポロリ。 「『もう、ママを許して上げなさい』って。『ママの優しさを、思い出しなさい』って。で も、あたし、優しかったママを、思い出せなくて……」 「それで、探していたんだね、ママの思い出を」 「あたし、ピアノがうまく出来なくて、いつもママに、物差しでぶたれた」 「でも、くーちゃんのママは、くーちゃんにきれいな服を縫ってくれただろ。いつも、お姫様 の様にきれいな服を着ていたよ、くーちゃん。とってもかわいかった。覚えているよ」 「でも、怖かったのよ。洋服を汚さない様に、いつもビクビクしていたわ。 少しでも汚すと……」 「いいよ。もう、いわなくていい」 五郎さんが、くぅばーたんを抱きしめた。 「それも、覚えているよ」と。
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