くぅばーたん 福になる3静岡の日本一

 朝早く、ナッちゃんは、トイレに行きたくて目が覚めた。

 (あれ‥‥?)

 眠い目をこすりこすり、ナッちゃんは、思い出した。夕べ遅くに家を出て、真夜中に静岡のお

じいちゃんの家に来たのを。

 「ねー、お父ちゃん、おしっこ」

 ナッちゃんは、隣に寝ているお父ちゃんを起こした。

 「一人で行けるだろ、むにゃむにゃ」

 お父ちゃんは、布団にもぐり込んでしまった。

 (一人で行けってたって‥‥)

 その時、妹のミーちゃんが、

 「お兄ちゃん、あたしもおしっこ」

 と、起き上がった。

 「しかたがないなー」

 ナッちゃんは、ミーちゃんの手を引いて、部屋を出た。

 と、直ぐ目の間に階段。

 「うー、危なかった、もうちょっとで落っこちるところだったよ」

 ナッちゃん達は、二階の八畳間に寝ていたのだ。

 「おー、起きたのか、こっちにおいで!茶の間が暖かいぞ」

 下から、二人を呼ぶじいちゃんの声がした。

 ナッちゃんとミーちゃんは、なぜだか嬉しくて、顔を見合わせてクスッと笑った。

 トイレを済ませて、茶の間に行ってみると、こたつの上に、お茶とみかんが用意してあった。

 静岡の家には、ばあちゃんは居なくて、じいちゃんは、次郎おじちゃんと二人暮らしだ。

 「茶を飲め。うまいぞ」

 じいちゃんが入れてくれたお茶を一口飲んで、ナッちゃんが、

 「静岡のお茶は、日本一なんだよね」

 と、言った。

 「そうだ、よく覚えていたな。みかんも食え。みかんも日本一だぞ」

 そういって、じいちゃんがハハっと笑った。

 「富士山も、日本一なんだよね」

 「うん。富士山は、静岡じゃなくても日本一だが、静岡から見る富士山が、格別日本一だ」

 「静岡には、日本一が一杯だね」

 ナッちゃんの言葉に、じいちゃんは大満足。

 「飯は炊けてるからな、卵をかけて喰おう」

 次郎おじさんは、養鶏場で働いている。

 ミーちゃんが、ナッちゃんの脇腹をつついた。

 「双子の卵だよね」と。

 次郎さんは、大きすぎて、パックに入らない規格外れの卵を貰って来る。その中には、黄身が

二つ入っている卵が有る。

 「卵も、静岡は日本一じゃない?」

 ナッちゃんとみーちゃんのお腹が、グーとなった。