くぅばーたん 福になる28助けてくれー!

 「こんな事、有りかよー」

 裕信君が、悲鳴に近い声を上げた。

 二月の末の五時は、もう暗い。

 薄明かりの中を、くぅばーたんの部屋までやって来た子ども達が発見したのは、一枚のメモ。

 「ミーちゃんのお迎えに、おじいちゃんといしょに、保育園まで、車で行ってきます」

 と、いうことは、今、この「大志館」には、子ども達とキーちゃんだけ。

 と、思う間もなく、

 「出かけるよー、よろしく」

 そう言い残して、キーちゃんも出て行ってしまって………。

 「こんな事、有りかよー」

 になったのだ。

 これまでだって、子どもだけでの留守番はあった。

 「だけど……、どうしよう。大金持ってるよ!泥棒が来たら?」

 「だめだ、秘密の部屋へ引き返そう」 

 サーちゃんと裕信君が駆け出して、ター君と真一君がそれに続いて、ナッちゃんが、サーちゃ

んに手を引かれて転びそうになりながら、ついて行く。

 「部屋のドア、閉めて」

 「二重に閉めようぜ」

 ギーバタン、ガラガラビシャン!

 とたんに、大きな声。

 「ダメー!」

 今度叫んだのは、ナッちゃん。

 「どうして?」

 「内側の戸、壊れているから、閉めたら中からは開かないんだ。この間、ミーちゃんが閉じ込

められちゃったの」

 「そ、そ、そんあ〜」

 裕信君が、へたへたと座り込んだ。

 サーちゃんも泣きたい気分だった。

 「こんな大金が有るから………」

 「そうだよ。金があるから、泥棒が怖くて」

 裕信君が悔しそうに、唇をかんだ。

 「でもさー、僕らが大金持ってるの、誰も知らないよ。そんなに直ぐに、泥棒が来るわけない

じゃん。怖がって、バカみたい」

 タッ君が、肩をすくめた。

 真一君も、大きくうなずいた。

 「そうだね。知らないもんねー。僕たちがここに居るのも、誰も知らないもん」 

 その言葉に、サーちゃんが、青ざめた。

 裕信君も、青い顔。

   

 「お、おれ、しょんべんしたくなった」

 「でも、むりだよ、お兄ちゃん。もらすしかないよ。おれたち、閉じ込めらちゃったから」

 真一君が、タッ君の真似をして肩をすくめると、

 「トイレなら、こっちだよ」

 そういって、ナッちゃんが、窓に駆け寄った。

 「ここ、秘密の通路だよ。開けると、洗濯場。トイレへも行けるよ」と。