|
くぅばーたん 福になる16「いいにおい!」 |
|
ミーちゃんと優美ちゃんが、朝のおしたくをしていると、二人の後ろを通りかかった信介君 が、いきなり大声で叫んだ。 「くせー!なんだ、このにおい。優美、うんこもらしたのか」 信介君が、かがんで、くんくんと優美ちゃんの体をかぎ回った。 信介君の声と様子で、園庭に遊びに出ようとしていたノッちゃんと聖斗くんが、 「うんこだって!」 と、駆け寄って来た。 優美ちゃんは、耳まで真っ赤にして下を向いた。 ミーちゃんも、さっきから、「変なにおい」には気がついていたけど‥‥‥。 「うんこもらし!うんこもらし!」 信介君が、手を叩いて、優美ちゃんをはやした。 優美ちゃんは、泣きそうな声で、でもしっかりと、 「うんこじゃないもん、ゲボだもん」 と、叫んだ。それから、泣くのをがまんしながら、 「来るとき、奈々をベビーカーに乗せようとしとき、奈々がミルクをもどして、それがつい ちゃったから」 と、説明をした。それを聞いた信介君は、 「優美は、ゲボ女だぞー!」 と、叫びながら庭に飛び出して行った。ノッちゃんと聖斗くんも、後をおいかけた。 優美ちゃんは、膝の上に置いた手をグーにして、唇をかんだ。 「着替えれば、だいじょうぶだよ」 ミーちゃんがそうゆうと、優美ちゃんは、クビを横に振って、自分の引き出しを指した。 引き出しの中には、何も入っていない。 「ママ、熱があって、病気で」 そういって、優美ちゃんは、目をこすった。 「それでも、お仕事休めないから、『洗濯できないよ。洋服汚さないで』って」 優美ちゃんの目から、涙がこぼれた。 ミーちゃんは、自分の引出しから、ピンクのトレーナーを取り出すと、優美ちゃんに渡した。 「これ、着てれば」 「でも、ママに‥‥‥」 「帰りに、ゲボシャツに、又きがえればいいよ。わからないって」 「でも、ママが‥‥‥」 「優美ちゃんのママ、つくし組に、先に行くでしょ、奈々ちゃん達をおむかえに。そのあいだ に着替えな。ばれないって」 「でも‥‥‥」 優美ちゃんが、横目でミーちゃんを見た。優美ちゃんは、ミーちゃんよりかなりでかい。 「だいじょうぶ。これ、サーちゃんのお下がりで、あたしにぶかぶか。サーちゃん、デブだか らさ」 と、ミーちゃんは笑った。 優美ちゃんも嬉しそうに笑うと、急いで着替えた。そして、 「このトレーナー、いいにおい!」 と、大きく息を吸いこんだ。 |