くぅばーたん 福になる「はじめに」

 これは、東京にほど近い、○○市南桑畑一丁目一番地にある、「大志館」に住む人々の話。

 「大志館」の最寄駅は「カケスニュータウン」。

 駅からバスで三十三分、バス停から徒歩七分。

 しかし、真すぐ旧道を歩くと二十二分で着く。バスに乗るより歩いた方が早い。

 「大志館」は、大正十二年に建築された堅牢な木造二階建ての洋館で、その昔は、全寮制の英

語の私塾だったところだ。現在、内部は改造されて、バストイレ付きの2LDKの部屋が一階に

三部屋、二階に四部屋のアパートとして使われている。

 家主は、関口くらら、通称くぅばーたん。

後列左から 一也さん 美鈴さん 正太郎さん キーちゃん 谷さん 麗さん 野口の母ちゃん
前列左から くぅばーたん ミーちゃん ナッちゃん サーちゃん 裕信君 真一君 五郎さん タッ君 野口の父ちゃん

 「大志館」の住人は、一階一号室がくぅばーたんと、旦那さんの五郎さん。二号室は現在空室

で、三号室がくぅばーたんの長男家族の関口正太郎さん、麗さん、紗香(サーちゃん)、大樹

(タッ君)。

 二階五号室が、くぅばーたんの長女家族の竹田美鈴さん、一也さん、夏也(ナッちゃん)、美

穂(ミーちゃん)。六号室が野口家で、野口耕造さん、華子さん、裕信君、真一君。七号室が谷

明さん。8号室がくぅばーたんの二男の野口幾多郎(キーちゃん)だ。

 この他、玄関を入った直ぐが吹き抜けのホール。一階奥が大浴場兼洗濯場。その右手が、元書

庫のピアノ室と五郎さんの作業場。そして、秘密の場所に隠し部屋。大浴場兼洗濯場の上は、古

い洋館にふさわしくバルコニィーだ。

 「大志館」に住む人々の職業は、多彩。正太郎さんは、演劇人。麗さんは、インテリアデザイ

ナー。美鈴さんは、幼稚園の先生。一也さんは、市役所勤務。野口さん夫婦は、郵便局員。谷さ

んは、カメラマンで、キーちゃんはミュージシャン。

 五郎さんは、元郵便局員で、昨年秋に定年退職したので、今は無職。

 くぅばーたんは、「大志館」の大家の他に、美鈴さんが勤めている「白百合幼稚園」の地主で

もあり、隣町の「病院前」駅の駅前ビル五階の画廊「武蔵ギャラリィー」のオーナーだ。

 子ども達は、ミーちゃんをのぞいて、皆「懸巣小学校」へ行っている。サーちゃんは、四年二

組。裕信君は、四年三組。タッ君は三年一組で、真一君は、二年三組。ナッちゃんは一年二組。

その妹のミーちゃんは、「南桑畑保育園」のゆり組、年中さん。

 この人達と、その友達と、ご近所さんと‥‥‥。

 「大志館」は、いつもにぎやか、にぎやか。