進路を決めた彰くん、学院のお姉さんからあなたのことを聞きました。
周囲の人たちからの、奨学金の制度もあるし、進学して将来に備えてはという助言のあるな
か、あなたは就職することに決めたそうですね。施設を出た自分が経済的に行き詰ったとき、頼
る親も帰る家もない状況に向き合って、働いていく道を選択した17歳の彰くん。今のあなたに
どんな言葉をかけたらいいのか心が揺れます。
『豚の死なない日』『続・豚の死なない日』(ロバート・ニュートン・べック著、金原瑞人
訳、白水社)という二冊を、彰くんの出発に贈りましょう。これは、作者の自伝に基づいて書か
れた本です。貧しい農夫の息子ロバート、父は農作業の傍ら肉屋に雇われて豚を屠殺する仕事を
しています。ロバートは自然を相手にした過酷な環境と、周囲の人びととの触れ合いのなかで、
現実を受け入れつつ一歩一歩成長していきます。父の死後、14歳のロバートは残された家族を
支えて、さまざまな試練に立ち向かいながら、大人になることの意味を噛みしめるのです。
タイトルの『豚の死なない日』とは、父の葬式の日、雇い主や同僚が参列してくれたので、こ
の日豚は死ぬことはないという一節からとられているのでしょう。
働くとはどんなことか、大人になるのは何を受け入れていくことなのか、作品全体を通して語
りかける作者の声を聴いてください。そして、元気に働きながら、彰くん自身の未来を切り開い
ていってください。