95話 くぅばーたん62「お土産、ありがとう」

 「サーちゃん、お迎えが来てますよー」

 くぅばーたんの呼ぶ声に、サーちゃんは、三枚目のトーストを皿に戻して、急いで玄関へ向っ

た。

 「何だよ、早いいね、今日は」

 そう言うサーちゃんに、玄関で待っていた、真帆ちゃんと亜由美ちゃんは、

 「ごめんね。これお土産なの」

 と、大きな袋を渡した。一目で分かる、デズニィーランドのお土産。

 「えー、行ったのー?一緒に?デズニィーランド」」

 さっきの「ごめん」は、「サーちゃん抜きで、デズニィーランドへ行っちゃった。ごめん」の

「ごめん」だったのだ。

 真帆ちゃんと亜由美ちゃんは、コクンとうなずいた。

 「デズニィーランド」と聞いて、タッ君が飛び出して来た。

 「だれ?デズニィーランドヘ行ったの」

 ナッちゃんと、ミーちゃんも、二階から下をのぞいた。

 裕信君と真一君の兄弟も、階段を駆け下りてきた。

 「亜由美達、行ったのか!」

 と、叫びながら。

 ここ、「大志館」の子ども達にとって、デズニィーランドは禁断の園、憧れの聖地だ。

 「どうせ行くんなら、いっしょに行こう」

 が、仇になって、未だに行けずじまい。

 旅行雑誌のカメラマンの谷さんは、旅行が仕事だから外すとしても、サーちゃんパパの正太郎

さんは外せない。キーちゃんも土日が休みとは限らない。となると、夏休みか冬休みになるのだ

が、そうなると、ナッちゃん達や野口家は、田舎へ行っちゃうし。

 「へー、行ったんだ、二人で………」

 と、もう一度言ってしまったサーちゃんの背中を、くぅばーたんがポンと叩いた。

 「素敵なお土産ね、何が入っているの」

 と、いいながら。

 サーちゃんは、急いで付け足した。

 「お土産、ありがとう」って。