94話 くぅばーたん61「クレープは元気のもと」

 もうすぐ運動会。

 毎日毎日、「病気になりたい」と願ってしまう、サーちゃん。

 「ねー、ばーちゃん」

 と、夕飯の用意をしているくぅばーたんのところにやってきたさーちゃん。

 「残念でした、今晩のおかずは、サンマの塩焼きにきんぴらごぼうよ。サーちゃん、魚は苦手

でしょ」

 と、くぅばーたんはサーちゃんに笑いかけた。

 「おかずのつまみ食いに来たんじゃないもん」

 サーちゃんは、ドスンと、キッチンの椅子に音を立てて腰掛けながら、鼻にしわを寄せた。

 「あらあら、ご機嫌斜めだこと。でも、美味しいクッキーも無いし……」

 くぅばーたんは、おやつを入れた缶を並べてある棚に目をやった。

 「おやつなんか食べない。太るもん」

 と、キッチンのテーブルの足をキックするサーちゃん。

 「サーちゃんは、ちっとも太ってないでしょ」

 「太ってるもん、デブだもん!デブだから……、走るの遅くて………」

 サーちゃんは、目に手も当てず、ワンワンと泣き出した。

 「まー、かわいそうに。かわいそうなサーちゃん」

 くぅばーたんは、サーちゃんの抱きしめて、その頭をなでた。

 「又、運動会の季節が来たのね」

 と、いいながら。

 サーちゃんが、コクンコクンとうなずいた。

 「こんなに悲しいんじゃ、クレープを焼くしか無いかしら」

 そういって、くぅばーたんはサーちゃんの顔をのぞき込んだ。

 サーちゃん、しゃくりあげながら、

 「アイスも、ある?」だって。

 「さあ、焼くの手伝ってちょうだい」

 サーちゃんは、くぅばーたんとクレープ作りだ。

 「ねー、ばーちゃん。どうして運動会なんてあるんだろ」

 「さあねー、運動会が楽しみな人のためにあるんじゃないのかしら」

 「好きな人だけでやれば良いのに」

 「それは、無理でしょ。運動会が好きな人は、一等になりたいでしょう?

でも、一等になりたい人だけで競争したら、かけっこが早い人も、ビリになっちゃう。

それじゃ、かわいそう」

 「だから、かけっこが苦手な人が、ビリになってあげるの?」

 「そうかもね。順番をつけるとき、誰かはビリになるしかないからね」

 「でも………、やっぱりやだな」

 と、焼き上がったクレープに、アイスとチョコチップをたっぷりのせて、

サーちゃんは元気にかぶりついた。