92話 くぅばーたん59枝豆パーティー

 「今年は、いつまでも暑いね」

 正太郎さんが、額の汗を拭いながら言った。

 「ああ、おかげで枝豆の実の入りが良い」

 五郎さんが、力を入れて枝豆を抜いた。

 今日は、「大志館」の枝豆パーティー。皆で、畑の枝豆を収穫している所だ。庭のかまどの大

鍋では、湯がたぎっている。採れたての枝豆は、実をもがれて、直ぐに茹でられる。

 「働かないと喰わせないぞ!」

 キーちゃんの号令で、子ども達も手伝う。

 そこへ、ビールとジュースを抱えて、

 「こんちわ。今日はどうもどうも」

 と、やって来たのは、カケスの千兵さん。

 「誰がよんだの?」

 美鈴さんと野口の母ちゃんが、ひそひそ話。

 「あら、いらっしゃい。ここへ来て」

 くぅばーたんが、手招きをしたので、皆の目は点になる。

 「何見てるのよ、さあ、始めましょう」

 「そうだ、まずは、カンパイ!」

 五郎さんの音頭で、パーティーの開始。

 そこへ、裏の佐竹さんが里芋のきぬかつぎを持ってやってきて、さらに賑やかになった。

 「五郎さん、郵便局辞めるんですってね」

 佐竹さんと五郎さんが、世間話。そこへ、千兵さんが割って入った。

 「五郎ちゃん、仕事ならいっぱいあるよ。よかったら、うちの会社においでよ」

 「そんなに忙しいの、千ちゃんのとこ」

 くぅばーたんの目が、ギロリと光った。

 「ああ、ここら辺りは開発途上だからね」

 と、千兵さんが、にやにやした。

 「開発って病院の南側とか?南幼稚園とか?土地を買い占めて、人を苦しめて、それでよくニ

ヤニヤしていられるわね」

 と、くぅばーたんが鬼の顔で言うと、

 「お母さん、それは誤解よ。幼稚園を買おうとしてる悪人は、別の悪者」

 と、美鈴さんが言って、

 「病院の東側を買ってるのは、千葉の人」

 と、麗さんがつけくわえて、

 「あそこを開発中なのは、房総建設」

 と千兵さんが言った。その言葉を、

 「それはずいぶんな暴走で」

 と、五郎さんが受けたが、このダジャレ、だれにも受けなくて……。五郎さんはビールを、佐

竹さんにすすめた。

 「房総建設と言えば、「大志館」に住んでいた安平さんの会社ですかね」

 といいながら、佐竹さんがビールをゴクリ。

 「千葉の安平さんといえば、毎春、くーちゃんが海を見に遊びに行く家でしょう。今年も『海

が見たい』と出かけて行って、広子さんとサラちゃんを拾って来た、あそこの」

 五郎さんの言葉で、今度は、くぅばーたんに目が点!

 皆は、久しぶりに聞く「広子さん」「サラちゃん』の名前に、サラちゃん親子の事を思った。

 「そういえば、帰りが遅いね、あの親子」

 「もう帰ってこないのかしら」

 と、突然、ミーちゃんが泣き出した。

 「サラちゃんに会いたいよー」

 つられて、サーちゃんも涙ぐんで言った。

 「だれか、サラちゃんをお迎えに行って」 

 「サラ、さびしくて、泣いてるかもしれない」

 そう言う、ター君とナッちゃんも涙声だった。