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「あー、やだやだ!私ったらどっぷり老けちゃって!」 と、手鏡をのぞきながら悲鳴を上げたのは、麗さん。サーちゃんママだ。 「そんなことないよ、ママはきれい」 タッ君が、ゲームから目を離さずに言った。 「そう言ってくれるのは、君だけよ。マイスイートベビィー」 麗さんが、抱きしめようとするその手を邪見に払いのけて、 「お食後、まだ食べてない。デザートプリーズ」 と、タッ君は、手を出した。 「デザートは無し。ダイエット中なの」 麗さんが、ぎゅうとお腹を引っ込めて見せた。 「だから、しわが増えたんだよ」 そういったのは、サーちゃん。 「ダイエットは、老化の元だって」 「誰が言ったの?おばあちゃん?」 「それ常識。しっかり食べて、しっかり運動!これ、ダイエットの基本だって」 タッ君も、ミーティングに参加だ。 「それに、砂糖が脳の栄養だってよ」 「風水でも、デザートを食べると運が上がるって言ってた」 タッ君とサーちゃんは、冷蔵庫にケーキがあるのを知っている。駅前の「金華堂」の。 「だめだめ、エクレアはあげられない」 気配を察して、麗さんが冷蔵庫の間に立ちはだかった。 「エクレア!」 タッ君とサーちゃんの顔が輝く。 くぅばーたんが決して作らないお菓子だ。だから、絶対食べたい!と思ったのだ。 「これは、明日一番で、クライアントに謝りに行くときの手土産なの」 「誤りに行くの?」 そう言われると、突撃の足が鈍る。 「うん。『病院前』駅の目の前のマンションの最上階を買い切った金持ちがね。これが、ケチ な上にバカ!内装の仕事を受けたんだけど、あれこれ難癖のつけまくり。代金を値切る魂胆は見 え見えなんだけど、泣く子とお客には逆らえなくて……。ストレスよ」 「ストレスには、甘いもんだってよ」 と、サーちゃんの甘い誘惑。 「そうだよね、食べちゃおう、エクレア」 と、麗さんは、冷蔵庫の戸を開けた。 タッ君とサーちゃんは、ガッツポーズ。 エクレアをほおばった、麗さんは話す。 「その業突く張りのバカがさ、病院の東側のとこ開発して、ニュータウン作るって言うのよ。 どうやら、そこが奴の爺さんの生まれ故郷らしいんだけどね。その爺さんが、千葉の方で不動産 で成功したので、故郷に錦を飾りたくなったって言う話なんだけど。うちの事務所としても、 ニュータウンの内装を任せてもらえれば、有り難いからね。ご機嫌の取りまくり。 あー、ストレスよ」 そういって、麗さんは、二つ目のエクレアに手を伸ばした。 |