85 くぅばーたん56「アメリカ旅行計画」

 サーちゃんは、カバンを玄関へ放り込むと、

 「ばーちゃん、駅前までいってくるよー」

  と、くぅばーたんに告げて、家を飛び出した。

 門の前では、真帆ちゃんと亜由美ちゃんが、サーちゃんを待っていた。

 サーちゃんは、二人に付き合ってもらって、駅前の旅行社へ、「アメリカ旅行」のパンフレッ

トをもらいに行く所だ。

 「でもさ、皆でアメリカ旅行だなんて、いいよねー。うらやましいなー」

 「皆が行けるか、決まって無いけど」

 「でも、アパートの人みんなで行くって言ったじゃん」

 「それって、野口君も行くってこと?」

 「なら、あたし達も行きたいよ」

 駅前に着く頃には、真帆ちゃんと亜由美ちゃんも、いっしょに行く事に決定だ。

 サーちゃんは、密かに足し算。

 (ばあちゃんとじいちゃんとあたしんちで、6人。キーちゃんとナッちゃんちで5人。裕信君

ちと谷さんで5人。そして、この二人で、6+5+5+2=18)

 そこまでは、余裕で暗算出来た。

(ばあちゃんがもらったお金は百万円で……1000000円÷18人は?)

 そこで、行き詰まる。

 (いけない、サラちゃんを忘れていた。サラとママで、20人だから……。1000000÷

20=50000。一人50000円!)

 サーちゃんは、真帆ちゃんと亜由美ちゃんに教えた。

 「アメリカ旅行の予算は、一人50000円よ。5の次に0が4つも付いてるんだよ。」

 「すごいじゃん、50000円ならOKだよ」

 「よゆう、よゆう!50000円なら楽勝だね。」

 と、三人は大はしゃぎ。

 そこで、旅行会社のカウンターで相談だ。

 「冬休みに、アメリカへ行きたいんです」

 「アメリカですか。ご希望のコースは?」

 「ナパです。ブドウ園へ用があるんです。ワインを作ってるとこです」

 「え?お子様がワイナリー巡りですか?」 

 「ヒイ婆ちゃんが、住んでるんです」

 サーちゃんがそういうと、係の人は、ニッコリ笑ってうなずいた。

 「もちろん、その後、ナパからアナハイムへ廻るんですよね。ディズニーランドへ」

 その係の人の言葉に、三人は、一瞬息をのんで、何度も何度も、大きくうなずいた。

 「ところで、皆さんは、パスポートはお持ちですよね」

 「は?パスポート?」

 「外国旅行には、必要なんですよ」

 「それって、ただですか?」

 「いいえ。五年間有効のもので、大人11000円。子ども6000円、費用がかかります」

 「ゲッ!高!

 サーちゃんは、ソッコウで計算だ。

 (50000-11000=39000)

 「あのー、一人39000円で、アメリカ旅行が出来ますか?」

 そのサーちゃんの言葉に、真帆ちゃんも亜由美ちゃんも、係の人を見つめた。

 係の人は、ニッコリ笑って答えた。

 「まったく持ってそれは無理。有り得ません」と。