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サーちゃんは、カバンを玄関へ放り込むと、 「ばーちゃん、駅前までいってくるよー」 と、くぅばーたんに告げて、家を飛び出した。 門の前では、真帆ちゃんと亜由美ちゃんが、サーちゃんを待っていた。 サーちゃんは、二人に付き合ってもらって、駅前の旅行社へ、「アメリカ旅行」のパンフレッ トをもらいに行く所だ。 「でもさ、皆でアメリカ旅行だなんて、いいよねー。うらやましいなー」 「皆が行けるか、決まって無いけど」 「でも、アパートの人みんなで行くって言ったじゃん」 「それって、野口君も行くってこと?」 「なら、あたし達も行きたいよ」 駅前に着く頃には、真帆ちゃんと亜由美ちゃんも、いっしょに行く事に決定だ。 サーちゃんは、密かに足し算。 (ばあちゃんとじいちゃんとあたしんちで、6人。キーちゃんとナッちゃんちで5人。裕信君 ちと谷さんで5人。そして、この二人で、6+5+5+2=18) そこまでは、余裕で暗算出来た。 (ばあちゃんがもらったお金は百万円で……1000000円÷18人は?) そこで、行き詰まる。 (いけない、サラちゃんを忘れていた。サラとママで、20人だから……。1000000÷ 20=50000。一人50000円!) サーちゃんは、真帆ちゃんと亜由美ちゃんに教えた。 「アメリカ旅行の予算は、一人50000円よ。5の次に0が4つも付いてるんだよ。」 「すごいじゃん、50000円ならOKだよ」 「よゆう、よゆう!50000円なら楽勝だね。」 と、三人は大はしゃぎ。 そこで、旅行会社のカウンターで相談だ。 「冬休みに、アメリカへ行きたいんです」 「アメリカですか。ご希望のコースは?」 「ナパです。ブドウ園へ用があるんです。ワインを作ってるとこです」 「え?お子様がワイナリー巡りですか?」 「ヒイ婆ちゃんが、住んでるんです」 サーちゃんがそういうと、係の人は、ニッコリ笑ってうなずいた。 「もちろん、その後、ナパからアナハイムへ廻るんですよね。ディズニーランドへ」 その係の人の言葉に、三人は、一瞬息をのんで、何度も何度も、大きくうなずいた。 「ところで、皆さんは、パスポートはお持ちですよね」 「は?パスポート?」 「外国旅行には、必要なんですよ」 「それって、ただですか?」 「いいえ。五年間有効のもので、大人11000円。子ども6000円、費用がかかります」 「ゲッ!高!」 サーちゃんは、ソッコウで計算だ。 (50000-11000=39000) 「あのー、一人39000円で、アメリカ旅行が出来ますか?」 そのサーちゃんの言葉に、真帆ちゃんも亜由美ちゃんも、係の人を見つめた。 係の人は、ニッコリ笑って答えた。 「まったく持ってそれは無理。有り得ません」と。 |