|
|
|
「ばーたん、重い?」 おんぶされた背中で、ミーちゃんが気をつかう。 「平気。だけど、タクシー捕まえたいね」 ミーちゃんが、コクンと背中でうなずく。 「ミーちゃんが、お熱です。直ぐに来て下さい」と、保育園から連絡をもらって、 くぅばーたんは迎えに来たのだ。 外は雨。台風が近づいているせいか、風も強い。 タクシーで来るつもりで、カケスタクシーに電話したが、何回電話しても話し中。 で、仕方が無いから、おぶいひもを抱えて飛んで来たのだ。 四歳になったミーちゃんは、ずっしりと重い。 背も高くなっているので、くぅばーたんがおぶうと、足が足にぶつかる。 保育園から、タクシー会社に電話して、やっとつながったが、タクシーはないと言われた。 「この天気ですからね、タクシーを利用する人が多いんでしょう。困りましたね」 のぞみ先生が、気の毒がってくれたが、どうにも仕方が無い。雨と風は、強くなる一方だ。 「ミーちゃん、行くわよ!頑張ろうね」 くぅばーたんは、ミーちゃんをおぶって、雨の中を歩き出したのだ。 雨足は一段と強くなって、くぅばーたんの膝から下はぐっしょりと濡れてきた。 のぞみ先生が、ブルーシートでミーちゃんを包んでくれたので、ミーちゃんが濡れる心配が無い のが救いだが、歩きにくい事に変わりはない。 「ミーちゃん、冷たくない?」 「大丈夫。ばーたん、冷たくない?」 「平気よ、いっしょに頑張ろうね」 と、言った時! 弱り目に祟り目。泣きっ面に蜂。 だけど、こんな事にくじけるくぅばーたんではない。 「ミーちゃん、大丈夫だからね」 とはいったものの、どうしたらいいか・・・。 その時、一台の車がスーと寄って来て、停まった。 見ると、くぅばーたんの幼馴染みのカケス建設の社長の千兵の車だった。 「大変だね、どこいくの?乗りなよ」 くぅばーたんは、子どもの頃から千兵が嫌いだ。天敵と言ってもいい仲だ。 だけども今日ばかりは、背に腹は代えられない。すかさず、車に乗り込み、ホッと一息。 「さしずめ、おれは、地獄に仏だろ」 と、千兵が、バックミラー越しにくぅばーたんに笑いかけた。 「ほんと、天の助。千ちゃんがいっしょで鬼に金棒よ」 「おれが金棒で、くーちゃんが鬼か?」 千兵の顔が、嬉しそうに輝いている。 「ええ、私が鬼」 といった、くぅばーたんの目が、キラリ。 なにしろ、これからくぅばーたんは、ミーちゃんを病院に連れて行かなければならない。 でも、その前に、ター君と真一君も、学校へ迎えに行く予定だ。二人も発熱したので。 もちろん、このまま、千兵の車で廻る魂胆だ。 「本当に大助かりよ、仏の千兵さん」 |