67 くぅばーたん43「悪質リフーム屋」

 くぅばーたんは、朝から大忙し。

 「鬼のように、働くわよ!」

 まだまだ残暑は厳しくて、動くと汗が滝のように流れるが、頭にバンダナをきりりと巻いて、

くぅばーたんは、がんがん動き回る。

 裏庭のバーベキューコンロを片付けて、洗濯場に干してあるビニールプールをたたんで、つい

でに水遊びの道具もまとめて、屋根裏に運ぶ。ついでのついでに、二階のバルコニーに広げて

あったテントもたたんで上げる。

 「使ったのは子ども達なんだから、片付けも子ども達にさせなさいよ」

 美鈴さんなら、そういうだろうが。

 「そうそう、台風が近づいてるんだった」

 台風が、四国に接近中だ。

 「植木、下ろしておいた方が良いわよね」

 前庭の垣根につるしてある花の鉢を下ろしに外に出てみると、男がやって来て、

 「おばあちゃん、精が出るね」

 と、話しかけてきた。見慣れない顔だ。

 (あんたに婆呼ばわりされる筋はないね。こうみえてもまだ六十四歳なんだし)

 そう言いたいのをぐっとこらえて、

 「どちらさまかしら?御用ですか?」

 と、くぅばーたんは、微笑んだ。

 「おばあちゃん同様、随分年期の入ったアパートだね。シロアリとか、ヤバいんじゃないの?

見てあげようか」

 と、男はニタリと笑った。

 くぅばーたんには、一目でピンときた。

 (おー、これが世にきく、悪質リホーム屋かい)

 くぅばーたんは、ドキドキ、ワクワク!

 「私の祖父の代の建物ですからね」

 「そりゃー、だめだよ。土台なんかもやられてんじゃなにの。屋根も、見た方が良いかもな」

 「そうね、是非、屋根を見て下さいな。明後日あたり台風が来るんでしょ。怖いわ」

 くぅばーたんは、胸を押さえて、怯えてみせた。

 「梯子が、有るかい。悪い所があれば、すぐの直してやるよ」

 「植木の剪定用の梯子なら有りますよ」

 くぅばーたんに教えられて、男は梯子を運んで来て、玄関の屋根に登る。

 登るなり、男は叫んだ。

 「ああー、こりゃー、ひどいもんだ」

 「あらあら、大変。二階も見て下さいな」

 男は、ヘッピリ腰で、上へ登る。

 その間に、くぅばーたんは、梯子を外して、三軒先の郵便局にひとっ走り。

 「五郎さーん、来て来て!面白いもの捕まえたんだから!皆も、見に来てー」

 それからは、大騒動。パトカーも来て!

      ☆ ☆ ☆

 その晩、くぅばーたんは、五郎さんに、たっぷりと叱られた。

 「くーちゃん、証拠もなしに、人を捕まえる事は出来ないんだよ。第一危険過ぎる」と。