61話 くぅばーたん39「宝のワイン」

 「あれっ、おばあちゃん、そんな格好でなにするの」

 くぅばーたんを見つけて、ター君が叫んだ。

 ター君が,大騒ぎするのも無理は無い。

 くぅばーたんは、ライトのついたヘルメットをかぶって、廊下に立っていた。

 早速、ター君が、大きな声で、皆を呼んだ。

 「ねー皆ー、来てみなよ!おばあちゃんが変だよー、見てみて!」

 その声に、真っ先に飛んで来たのは、ナッちゃん。ミーちゃんも、付いて来た。

 「あー、いいな、そのお帽子。ちょっと貸して」

 ミーちゃんが、ヘルメットを指差した。

 「その頭の上の電気、つくんだよね。ぼくも、かぶってみたい」

 「オレが先に決まってんだろ」

 ナッちゃんとター君が、くぅばーたんに飛びついた。くぅばーたんは、ドスンと尻餅。

 「これは遊びじゃないのよ、お仕事なの」

 くぅばーたんの声が、荒くなる。

 「何のお仕事?」

 「武蔵さんの部屋の地下室の……」

 地下室ときいて、子ども達は、興奮!

 「地下室だって!」

 「武蔵さんの部屋に、地下室だって」

 「懐中電灯つけて、探検だ!」

 サーちゃんと裕信君もやって来て、騒ぎは広がる。

 そこへ、五郎さんが帰って来て、

 「おお、賑やかだね、何事が始まったの」

 と、笑いかけた。

 くぅばーたんが、しかめっ面をして見せた。

 「五郎さんも手伝って。武蔵さんの部屋の地下室に入るのよ」

 「地下室って、あの防空壕のかい?」

 「防空壕?なにそれ?」

 子どもたちは、ワイワイ、ガヤガヤ。

 五郎さんが、説明だ。

 「昔、おじいちゃんやおばあちゃんがミーちゃんぐらいの時、日本は戦争をしていて、敵の爆

弾から身を守るために、穴を掘って隠れ場所を作った。それが、防空壕さ。

ところで、くーちゃんは、何しに防空壕へ?」   

 「しまってあるワインを数えるのよ」

 「ワインなら、キーちゃんが数えてあるよ。で、そのワインをどうするの?」

 「売ってくださいって」

 「売る」ときいて、サーちゃんは大はしゃぎ。

 「あたしが、お店屋さん」

 「おれも、お店屋さん」

 「あたしもやりたーい」

 子ども達は、大はりきり。

 かわりばんこに、くぅばーたんのヘルメットをかぶって、ワインの踊りだ。

  ♪ 売る、売る、ワイン

  ワインは、ワーイン!

  どんどん売って、

  お金が、ガポガポ!

 武蔵さんは、地下室に何百本もワインを持っている。ワイン農園の分け前だ。

 それを売って、広子さんとサラちゃんのために使うつもり。

 武蔵さんの退院は、もう間もなくだ。