60話くぅばーたん38「大人会議」

 子ども達が眠りについた夜十時。くぅばーたんの家のキッチンで、大人達が話し合い。

 「広子さんとサラの今後についてだけど」

 司会は、店子代表の野口の父ちゃん。

 麗さんが、ワインを勧めながら、 

「ところでさ、広子さんは、その暴力旦那と別れたいの?やり直したいの?」

 と、広子さんにきいた。

 集まった皆、正太郎さんと麗さん。美鈴さんと一也さん。野口の父ちゃんと母ちゃん。キー

ちゃんと谷さん。そして、くぅばーたんと五郎さんが、広子さんに注目。

 広子さんは、少し考えて、答えた。

 「ここに来る前は、あの人は、サラの父親なんだから、実の親と暮らすのがサラにとって一番

幸せなんだから、我慢してでも一緒にやって行こうと思っていました。でも」

 「でも?」

 美鈴さんが、広子さんの顔をのぞき込んだ。

 「あの晩、酔っぱらって帰って来たあの人と喧嘩になって、いつものように殴られて……。

それでも、まだ我慢出来たけど」

 「けど?」

 「サラを蹴飛ばして……」

 「サラを蹴飛ばした!」

 「あのかわいい、小さなサラを?」

 キーちゃんと谷さんが、拳を固めて、テーブルを叩いて、

 「会ったら、ぶっ飛ばしてやる」

 と、顔を見合わせた。

 広子さんの話は続いた。

 「『お前なんか生まれてこなければ良かったんだ』って、サラを掴んだから」

 「奪い返して、家を飛び出した?」

 「よくやったよ、逃げ出して正解だったよ」

 キーちゃんと谷さんが、ガッツポーズ。

 「ところで、谷さん、その人の写真は?」

 五郎さんにいわれて、谷さんが、盗み撮りをして来た写真を、皆に見せた。

 「げっ!イケテル!」

 「騙されるわ、こりゃ」

 そういって、麗さんと美鈴さんが、肩をすくめた。

 広子さんが、ため息をつきながら頷いた。

 写真に見入っていた野口の母ちゃんが、

 「この、後ろに写っている女は、誰?どう見ても、これは連れだね」

 と、広子さんに写真を指差していった。

 野口の父ちゃんが、口に指を当てて「言うな」と合図したが、母ちゃんには通じない。

 「広子さんの知った顔?」

 「これは、あたしの友達の仁美だわ!」

 「これこれ、これが、旦那があんたに辛く当たる理由。うちの亭主もね」

 その母ちゃんの言葉を遮って、

 「さて、こいつが来た時の対策は……」

 と、司会者が声を張り上げた。

 それに答えて、くぅばーたんが、発言。

 「対策なんて要りませんよ。あの部屋に隠れていれば安心。あそこは、鬼から人を守るため

の、魔法のからくり部屋ですからね」と。