|
|
||
|
くぅばーたんは、腕組みをして、首をひねって、「うーん」とうなった。 それから、もう一度、玄関に出て、廊下を巡って、階段を上って、二階へ行った。 これで、三回目だ。 大きなカメラマンバックをさげて、仕事に出て行くところの谷さんが、 「どうかしたんですか、大家さん。家の中をうろうろ歩き回って、折の中の熊ですね」 と、くぅばーたんの肩を叩いた。 「どこか、修理したいんだけど……」 くぅばーたんが、又、首をひねった。 谷さんは、驚いた顔でくぅばーたんを見た。 「大家さん、大工仕事もするんですか?」 「いいえ、大工の棟梁にね、仕事を頼みたいんだけど、頼む仕事が見つからないの」 「それなら、バルコニーの手すりを直して下さい。バルコニーへのドアが『開放厳禁』じゃ、 暑くてたまりませんから」 「それは、もう頼んであるのよ、大工の棟梁にね。お代もお支払いしてあって……」 「よかった!じゃ、間もなく直るんですね。大家さんに金がなくて直せないって聞いて」 「だれ、そんなこといったの」 谷さんは、首をすくめると「行ってきます」と、あわてて階段を駆け下りて行った。 「きっとキーちゃんね、そんなこと言いふらしたのは!」 キーちゃんを捕まえて、問い正したいが、今日は五郎さんと一緒に、子ども達をつりに連れて 行って留守だ。 くぅばーたんは、「開放厳禁」という札の下がったドアを開けて、バルコニーへ出た。 大工の棟梁は怪我をして休業中だが、「直ってからで良いから」と、くぅばーたんはここの修 理を頼んで、お金も渡した。
(それはだめなの、それじゃ、あたしのお見舞いの気持ちが無駄になるもの) くぅばーたんは、急いで直さなくてもいい仕事を見つけて、棟梁に頼もうと悩んでいる。 「お母さん、ちょっとサラを見てて」 階段の下から、美鈴さんが声をかけて来た。 くぅばーたんは、サラちゃんを抱いて外に出た。ぶらぶらと散歩をする。 「あのママさん三人は、何をしてるんでしょうねー。秘密の部屋で、秘密のお話?」 その時、ピピッとくぅばーたんに閃いたのは! 「そうよ、あの部屋の壁、あの絵を剥がしましょ。あれは、あたしの宝物ですもの。 壁じゃなくて、絵として保管しましょう」 秘密の隠し部屋が小部屋でも、壁一面の絵だ。どこに置くのか?でも………。 「とりあえず、バルコニーは直せるわ」 多くを悩まないくぅばーたんだ。 |
||