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きょうは、「大志館」のピクニック。 くぅばーたんと五郎さん。正太郎さんと麗さんと、サーちゃんとター君。 美鈴さんと一也さんと、ナッちゃんとキーちゃん。それに、谷さんの十一人で出発だ。 「あれっ、お母さん、お兄ちゃんは?」 「正太郎なら、居るでしょう」 「ちがう、キーちゃんよ」 美鈴さんは、下のお兄さん、キーちゃんが居ない事を、気にしていたのだ。 「呼びに行ったけど、居ないのよ」 「仕事で、泊まりなんじゃないのか。連絡ぐらいくれるといいのにな」 くぅばーたんと五郎さんが、困ったもんだと顔を見合わせた。 「まったく幾多郎は、気ままなやつだ。いくら一人暮らしでも、困ったやつだ」 と、正太郎さんがいったので、 「パパ、困ったやつって、だれ?」 と、ター君が、わざと大きな声で正太郎さんにきいた。 「キーちゃんだよ」 サーちゃんが、小声でター君に教えると、ター君いばって、 「そのぐらい知ってるよ」だって。 「キーちゃんじゃなくて、『おじさんっていいなさい』っていってるでしょ」 そういって、麗さんが、サーちゃんを肘でつついた。サーちゃんが、肩をすくめた。 その時、ご馳走の入ったバスケットを運んでいた谷さんが、大きな声を出した。 「すげー上手そうな匂い!くぅー楽しみ!」 「どれどれ、かがせて」 サーちゃんとター君が、かけよった。 「これは、ソーセージパンと鳥の唐揚げの匂いだよ。ナッちゃんもここへ来て、かいでみな」 サーちゃんが、ナッちゃんを手招きした。ナッちゃんも、駆け寄ってにっこり。 「のりの匂いもするよ」 「太巻き寿司も作りましたよ。ナッちゃん、エビと卵焼きの入った太巻き、大好きでしょ」 と、くぅばーたんが嬉しそうに言った。 「あたしの好きな物は?」 そういって、キーちゃんがくぅばーたんを見上げた。 「イチゴにバナナにオレンジでしょ、はいはい、入れましたよ。それからこれ」 くぅばーたんは、キーちゃんに、クッキーの入った缶を渡した。 ター君、うらやましそうに、キーちゃんを見ている。 「それはそうと、新入りのあの親子は?広子さんとサラは、どうしたの」 と、美鈴さんが、麗さんの顔を見た。 麗さんが、肩をすくめて、 「サラがいるから、遠慮しますって」 と、答えた。 広子さんの名をきいて、キーちゃんが、美鈴さんのジーパンにしがみついた。 「もっと、熱心に誘わなくちゃ!広子さん、気兼ねしてるのよ。あたしが連れてくるわ」 美鈴さんが、キーちゃんの手を引いて、廊下の奥に向った。 キーちゃんは、イヤだとしゃがみこんだ。が、美鈴さんは、 「キーちゃんがお迎えに行かないと、サラちゃんは来れないのよ。サラちゃんもいしょがいい でしょ?ピクニックは、みんな一緒が楽しいよ」 と、キーちゃんの手を、ぐいっと引っ張った。 「キーちゃん、行ってあげな。『サラちゃん行こう!』って、誘ってあげな」 と、一也さんが、キーちゃんを抱き起こして、ナッちゃんが、 「お兄ちゃんも一緒に行ってあげるからね」 と、キーちゃんの顔をのぞき込んだ。 「大志館」のピクニック、十三人で出発だ!
懸巣山公園の原っぱに着いてみると、 「おーい、みんなー、ここだよー。ここだよっ!」 と、キーちゃんが、大きな声で叫びながら、手を振って皆を迎えた。 「良い場所、取っておいたからねー」って。 |