50 くぅばーたん28休みの日のお楽しみ

 「サラ、お願いだから、静かにして」

 広子さんは、ぐずる赤ん坊を抱いて、泣き出しそうな顔で部屋を歩き回る。

 「ちょっと、いいかしら」

 そういいながら、部屋に入って来たのは、麗さん。サーちゃんのママだ。

 広子さんは、ぺこぺこ頭を下げて、謝る。

 「すいません、うるさくして。すぐに、静かにさせますから」

 と、涙声。

 「えっ、これがうるさいの?子どものうるさいのって、こんなもんじゃないでしょ」

 そこへ、ミーちゃんの母ちゃん、美鈴さんもやってきた。

 「スズちゃん、この子、うるさい?」

 さっそく麗さんが、美鈴さんに聞く。

 「おたくの二人の子どもの喧嘩に比べれば、雨の夜の墓場のように、静まり返ってる」

 それを聞いて、広子さんが、ぺこり。

 「ありがとうございます。本当にありがとう」

 その声は、振るえていた。

 「気を使って言ったんじゃないのよ、本心よ。子どもがぐずるのは普通の事。

泣いて、叫んで、意思表示をして当たり前なのよ」

 美鈴さんは、幼稚園の先生らしく、教える。

 それから、麗さんと、顔を見合わせて、(こんなことでも、殴られたんだねー)と、

こくこくと頷き合った。

 「ところで、広子さん、ワイン飲まない?」

 「いえ、あたしは………」

 麗さんは、ワインを一本とコップを三つ持って来ていた。

 「ワインなんて、ジュースみたいなものよ。ぐーとやって」

 遠慮する広子さんに、グラスを持たせる。

 「か弱き女達のために、カンパーイ」

 三人で、ワインで乾杯だ。     

 「あたしたちが、ここへきたのは、あなたの力になろうと思って」

 「広子さん、あなた何か、特技は無いの?車の運転免許、持ってる?」

 美鈴さんと麗さんは、ワインをお代わり。

 「はい。車とバイクの免許が有ります」

 と、広子さんが、ワインを飲み干す。

 「あら、いける口じゃん。ヨロシクね」

 麗さんが、ワインを注ぎ足す。

 「お仕事は、何かしてた?」

 「はい、病院に………」

 「看護婦さん?」

 「今は、看護士って言うの」

 美鈴さんと麗さんの会話が弾む。

 「いいえ、介護士です。老人病院の」

 「へー、大変な仕事じゃん。えらいね」

 麗さんが、そういって肩をすくめた。

 美鈴さんが、あきれ顔で、広子さんを見た。

 「自立出来る能力が有って、なんで、夫の暴力を許したの、がまんしたのっ!」

 広子さんが、小さな声で謝った。

 「すいません。あたし、淋しいのが辛くて、つい………。あの人、いいところも有るって、

思ってしまって。でも、サラを……」

 「ああ、さくらちゃん、名前変えたんですって。サラか、いいじゃん」

 麗さんと美鈴さんは、又、乾杯!

 サラは、眠りはじめた。安らかな寝息をたてて。