47話 くぅばーたん25「魔女、みーっけ!」

 今日は祭日なので、くぅばーたんは、五郎さんと、武蔵さんのお見舞いに行くことにした。

 ひまな、サーちゃんとター君も一緒。

 武蔵さんは、洋服に着替えて、待っていた。

 「病院の下の喫茶室に、行きませんか」と。

 サーちゃんとター君は大喜び。

 サーちゃんとター君は、クリームソーダとケーキ。くぅばーたんはクリームあんみつ。

五郎さんは、コーヒーとケーキ。そして、武蔵さんは、ミルクティーを頼んだ。

 「お元気そうで良かった、この分なら、退院も近いでしょう」

 と、五郎さんがいうと、武蔵さんは、

 「それはそれで、問題があってね。なにしろ、僕は一人暮らしなので………」

 と、首を横に振った。くぅばーたんが、

 「お世話なら、私がしますよ」

 と、いうと、武蔵さんは、もう一度、首を横に振った。

 ソーダ水の上のアイスクリームをスプーンですくいながら、サーちゃんが言った。

「武蔵さん、死んだら、お部屋あたしにちょうだい。

あたしの部屋、さくらちゃんに取られちゃったから」

 

 くぅばーたんが、あわてて説明。海野さん親子が、新しい住人に加わった事を。

 「私が使っていた部屋を、空けたんです」

 「あの隠し部屋をかい?」

 「隠し部屋」ときいて、サーちゃんとター君の目が輝く。

 武蔵さんが、二人に話した。

 「六十以上前、日本は、戦争をしていた。その頃、君たちのひいひいおじいさんは、英語教育

に携わっていてね。『互いに理解し合う事が、戦争を回避出来る唯一の方法だ』と、敵の国の言

葉を教えてはダメだという決まりに反対して、英語を教え続けた。危険を覚悟でね。それで、自

分が捕まっても、自分の家族は助かるように隠そうと思って、秘密の部屋を作った。それが、秘

密の隠し部屋。君たちのひいひいおじいさんは、家族思いの、意思の強い人だったんだよ」

 「でも、戦争が終わって、父と母がアメリカに渡ると、祖父は、英語教育を捨てました。

『なまじ英語ができるために、息子をアメリカに行かせてしまった』って」

 と、くぅばーたんが、唇をかんだ。

 「健太郎さんの英語力があったから、僕たちはニューヨークで活動出来たんだ。今でも感謝し

ている」

 と、武蔵さんが頭を下げた。

 「あたしを捨てて、アメリカに渡った息子夫婦を、祖父も祖母も許しませんでした。

だから、私は英語を教えてもらえなかった」

 五郎さんが、くぅばーたんの肩を抱いて、慰めた。

 「くーちゃんのママは、くーちゃには強すぎた。居なくなって良かったんだよ」

 武蔵さんも、うんうんと頷いた。

 「聖子さんは、エネルギッシュな人だからね。あの人は、魔女だよ」

 ター君が、サーちゃんにきいた。

 「聖子さんって、だれ?」

 「おばあちゃんのお母さん。あたしたちのひいおばあちゃんだよ」

 「ひいおばあちゃんは、魔女なの?」

 ター君の目が、まん丸くなっていた。