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「ねえ、ちょっと変だと思わない、お義母さんが連れて来た人」 麗さんが、声をひそめて、正太郎さんに言った。 「そうか?どこが?」 正太郎さんは、あまり興味が無さそう。 サーちゃんは興味津々。どんな会話も聞き逃さないぞと、聞き耳を立てる。 ター君は、テレビに夢中だ。 麗さんは、手を振り回しながら、 「どこがですって。どこもかしこも怪しいのよ。名前からして、怪しい」ですって。 正太郎さんは、首を傾げた。 「なんだっけ?、名前?」 「海野広子でしょっ!」 「ほー、それは、出来過ぎだな。海で会った海野さん?。海は広いの広子さん?」 とつぜん、ター君が歌いだした。 「?海は広いな、大きいなー」と。 ター君も聞いていたんだ、この話。 麗さんは、ますます張り切る。 「赤ちゃんは、サクラですって」 「地名の佐倉か?会ったのが佐倉の海だったのか?」 正太郎さんも、気合いが入って来たのか。 麗さんが、フンと鼻を鳴らして言った。 「言うんだったら、桜貝のサクラでしょ。佐倉の海野サクラは無いでしょ」と。 正太郎さんが、ポンと手を打って、決めた。 「よし、決まりだ。名前は、偽名だな」 サーちゃんが、小さな声で言った。 「なんで、あの赤ん坊が桜貝よ、サクラよ。ぎーぎー泣いてるだけなのに」 麗さんのテンションは上がる一方。 「海で拾ったって?何で海にいたのよ、暴力夫から逃れて、海に行く? 隠れるんなら、山でしょ。富士山の樹海とか」 「確かに。海は、見通しがよすぎる」 そこに、ター君が一言。 「海岸で座ってると、満ち潮に成った時、溺れちゃうよ。朝は、引き潮だけどね」 ター君は、海辺の生物の図鑑が大好きだから、海辺に詳しい。 サーちゃんも、思わず参加。 「死ぬつもりだったんだ、あの人!」 その言葉に、麗さんは、想像を巡らす。 「死ぬつもりで海に来て………、怖くなってしゃがみ込んでいるうちに眠ってしまった。乳飲み子を抱えて………、かわいそうに」 今度は麗さん、涙ぐんでしまった。 正太郎さんが、鼻にしわを寄せて、?の顔。 「話が、違って来てないか?あの親子は、怪しいんだろ? それが、そんなに簡単に、かわいそうになってしまっては………」 とつぜん、サーちゃんが叫んだ。 「ママのバカ!あたしのお気に入りのピンクのドレス、あげちゃって」 「だって、着るものが無くて困ってるようだったから。いくら気に入ってたって、 沙織には、あのドレス、きついでしょが」 「それはそうだ、十歳と十ヶ月とじゃ大違い。ケチな事言うな」 パパとママに叱られちゃったサーちゃん。 (あんな子………、なぜ来たの?) |