44話 くぅばーたん22「新住人は、疫病神?」

 五郎さんにとって、昨日はさんざんな一日だった。

 まず、朝、五時前に、奥さんのくぅばーたんに、起こされて………。

 夢かと思っていたのに、らららっ!いつもの時間、六時に起きたところが、

くぅばーたんの姿が無い。

 おむすびが三個、テーブルの上に置かれてあるだけ。

 (くーちゃん、出かける予定があったかな)

 電話の脇のカレンダーを見てみたが、四月二十七日木曜日のところには、何も書き込みは無い。

 (くーちゃん、何て言ってたかな………)

 眠っているところを起こされて、聞かされた言葉が思い出せない。

 (買い物に言ってくるわ、だったか……)

 それにしては、こんな朝早く………変だ。

 (う………、うめ………、梅見に行くわだ)

 だが、梅見はすでに終わり。梅とりには未だ早い。

 五郎さんは、職場の郵便局にいっても、仕事に実が入らなかった。

 もう帰っているかもしれないと、仕事の途中で三回も、くぅばーたんを探しに来て、

その度毎に心配は深まるばかり。

 夕方に成っても、まだくぅばーたんは帰っていない。

 「これは、捜索願だ!」

 と、思ったところに、お客を連れて、くぅばーたんが帰って来て………。

 「この方達、しばらくお泊めしますから」

 と、宣言されて。

 お客さんは若いお母さんと赤ん坊。

 その赤ん坊が、五郎さんを見るなり火がついたように泣き出した。

 「ごめんなさい、この子、男の人に人見知りするんです。とくに、眼鏡をかけた人に」

 と、言われても………。ここは、五郎さんの家ですから。

 小さい体に似合わぬ大きな声で泣き叫ぶ声赤ん坊!

 その迫力に、「大志館」の皆が集まって来た。

 ところが、その皆の姿、数に、赤ん坊は、ますます人見知り。しまいには、真っ青になって

もがきだした。それには、集まった皆が真っ青。

 「チアノーゼよ、リラックスさせなくちゃ。みんな帰って、お父さんも出て行って」

 幼稚園の先生の美鈴さんが、そう仕切る。

 そういわれても、五郎さんは行くところが無くて………、

 だれも、「うちにいらっしゃい」と言ってくれなくて………、

 しかたないから、五郎さん、納戸の隅の工作室で寝た。

 焼き物の窯や粘土や電動大工道具の間で。

 今朝も、五郎さんの災難は続いている。

 何しろ、五郎さんの気配だけで泣き出す赤ん坊が自分の家に陣取っているのだ。

 五郎さんは、家に入りたくても入れない。

 さすがに、人の良い五郎さん口のからも、愚痴がぽろり。

 「拾って来たのは、疫病神………?」

 前途多難!の予感だね。