クンナムの実

 あるところに、クンナムが豊かに実る美しい村が有りました。

 クンナムは、子どもの背丈ほどの低い木で、春の始めに若芽を枝いっぱいにつけ、白い花をつけ、

やがて青い実となり、秋には子どものこぶしほどのクンナムの実が,枝もたわわに実ります。

 その実は、そのまま食べてもさくさくしておいしいのですが、干して粉にすると、パンやら餅やら団子やらと、

いろいろと楽しめました。冬の間の大切な食料でした。

 クンナムの実は、村中の人たちを養うのに十分なほど沢山採れました。

 クンナムを分け合って暮らす人々とは、クンバイの民と呼ばれ、穏やかな人たちだと国中の評判でした。

  

 

 けれども、平和に見えるクンバイの民も小さないさかい事を抱えていました。

 クンナムのまだ青い実を食べるのが好きな人々が居たのです。

 その実はほろ苦く、誰もが好きになれる味では有りませんでした。

 おまけに、食べると口の中が紫色に染まってしまいます。

 「なんにも、ガツガツとあんな渋い実を食べなくても、秋まで待てば良いものを」

 「そうだ。あいつらは賎しい口グロだ」

 と、食べない人々は、食べる人たちを賎しい奴と仲間はずれにしだしました。

 そして、秋に実ったクンナムの実を分けてやるのを嫌がるようになりました。

 クンナムの実が少ししか分けてもらえなくなった口グロと呼ばれた人々は、クンナムの粉を十分に蓄えられなくて、

春になるのを待ちかねたように、クンナムの実を青いうちに食べてしまいました。
 

 それだけでは足りなくて、手当たり次第、クンナムの若芽も摘んで食べました。

 若芽を摘み取られたクンナムは、葉を茂らす事が出来ず、実りも少なくなりました。

 腹を立てたクンバイの民は、口グロと呼ばれる人々を、力ずくで村の外に追い出しました。

 若芽を食べる人が居なくなり、クンナムの木は、沢山の実りをもたらしてくれたでしょうか?

 いいえ、葉は茂り過ぎ、実は多くつきすぎ、実の一つ一つがどれも小さくて、ほろ苦い物になりました。

 クンバイの民は、今では、争い事の絶えない民と呼ばれ、国中の笑い者です。

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