|
|
|
「昨晩の雨は、ひどい降り様だったな。調整池があふれてないと良いけどな」 五郎さんは、目が覚めるなりそういった。 「大志館」の裏を懸巣山に向って150メートル程行った所に、 ひょうたん池と呼ばれる人工の池が有る。その辺り一帯は土地が低くなっていて、 雨が多量に降ると床まで水が上がってしまう。それを防ぐために人工の大きな池を作ったのだ。 「ほんとに凄い雨でしたよ。もう少し子ども達の帰りが遅かったら、大変な事になっていた。 想像しただけで、体が震えちゃう」 昨日の夕方、サーちゃんとナッちゃんと裕信君と真一君の四人は、小松菜とほうれん草を採り に、ひょうたん池の辺りまで行ったと話していたのだ。 「でも、やだ、そうよ、小松菜!」 くぅばーたんは、ガバッと飛び起きた。 「小松菜?ああ、サーちゃん達が盗んで来たあれか。そうそう、あの小松菜には困つたな」 「盗んだなんて!自分の孫達をそんな風に言うなんて、五郎ちゃんなんか嫌い」 くぅばーたんは、プリプリ怒りながら、外出着に着替え始めた。 「まだ、朝の5時だよ。何処へ行くつもりだよ」 五郎さんも慌てて、ベットから飛び下りた。 「里へ帰らせてもらいます」 と、くぅばーたんがいって、 「くーちゃんのお里はここだよ。くーちゃん、まさか、ボケ………? ボケはボク………」 と、つっこむ五郎さんは、寝ボケ? くぅばーたんは、聞こえないふり。 「急ぎましょう、孫達が盗んで来た……じゃなくて、知らずに頂戴して来てしまった小松菜と ほうれん草のお代を払いに行くのよ」 その日の「大志館」は、早朝から大騒動。 「畑の持ち主に騒がれないうちに、なんとかしなくちゃ」 と、大人達は、子ども達を問いつめる。 「どこの畑だったか、覚えてないもん」 「暗くて分かんなかったよ」 「いっぱい有るから、少し位良いさって」 「だれが?」 「散歩していたおじいさんが」 「どこの?」 「畑のそばの」 「どこの畑?」 「どこの畑だったか、覚えてないもん」 「暗くて分かんなかったよ」 話は、堂々回り、らちがあかない。 そこへ、お客さんが来た。 「お早うございまーす、大志館の奥さん。よかったら、これ食べて下さい」 と、アブラナを沢山抱えて。それが、一人じゃない。 次から次へと、近所中の畑の菜っ葉が、「大志館」に大集合。 !? !? !? どうしたのかな? |