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「さあさあ、急がないとっ!忙しいわー」 帰って来るなり、麗さんは、冷蔵庫を開けて、缶ビールを取り出した。 「今日一日、頑張った私へのご褒美」 プシュと缶を開けて、一気飲み。 それを見ていたター君が一言いった。 「ビールが飲めるうちは、安心だな」 「なに?それって、皮肉?嫌な子」 「ちがうよ、おばあちゃんがね………」 ター君は、くぅばーたんが貧乏だという話を報告。 話を聞いて、麗さんは大笑い。 「そんな訳無いじゃない。ああみえて、おばあちゃんは、お金にしっかりしてんだから。 その証拠に、息子や娘からも、しっかり家賃とってるんだからね。 もっとも、相場よりはズーと安いけど」 と言って、ハッとしたように口を押さえた。 「1号室の武蔵さん、入院してるから………家賃入れてないかもしれない。ここ、敷地が広い から、固定資産税も馬鹿にならないし、このへん路線価も上がって来てるからね」 麗さんは、室内装飾の仕事をしているので、不動産にも詳しい。 「まさか、家賃の値上げ何てことにならないでしょうね」 そこへ、野口さんの奥さんが、顔を出した。 「うちの子達、おじゃましてる?」と。 「来てないけど、ちょっと、入ってよ」 麗さんは野口さんの分も、缶ビールを出した。
「ところで、サーちゃんは、何してるかな?」 と、麗さんがサーちゃんの部屋へ目をやった。 「お姉ちゃん、いないよ。草探しに行った。オレにも、ジュースくれ」 「あんたは、水でがんしなさい。草探し?なに、それ」 「ジュースくれなきゃ教えない」 麗さんは、肩をすくめて、立ち上がった。 「裕信達も一緒なの?」 ター君は、わざとゆっくりリンゴジュースを飲んで………、こくんと頷いて、説明。 説明をきくや、二人は大笑い。 「やだー、草って、山菜の事でしょ」 「子ども達に、山菜が採れる分けないじゃない」 「タンポポでも、摘んでくるんじゃない」 「フランス人は、タンポポのサラダ、食べるってよ」 「カタツムリだって食べるんですもの」 「エスカルゴ!フレンチなんてしばらく食べてないな」 しかし、麗さんと野口さんの推測は大外れ。 サーちゃんたちは、抱えきれないほどいっぱい、山のように「草」を採って帰って来た。 食べられる草、小松菜とほうれん草を。 「散歩していたおじいさんが、教えてくれたのよ」 「『あの草なら食べられるよ』って」 「すごいでしょ、ぼくたち」 |