37 くぅばーたん15「草採り大作戦」

 「さあさあ、急がないとっ!忙しいわー」

 帰って来るなり、麗さんは、冷蔵庫を開けて、缶ビールを取り出した。

 「今日一日、頑張った私へのご褒美」

 プシュと缶を開けて、一気飲み。

 それを見ていたター君が一言いった。

 「ビールが飲めるうちは、安心だな」

 「なに?それって、皮肉?嫌な子」

 「ちがうよ、おばあちゃんがね………」

 ター君は、くぅばーたんが貧乏だという話を報告。

 話を聞いて、麗さんは大笑い。

 「そんな訳無いじゃない。ああみえて、おばあちゃんは、お金にしっかりしてんだから。

その証拠に、息子や娘からも、しっかり家賃とってるんだからね。

もっとも、相場よりはズーと安いけど」

 と言って、ハッとしたように口を押さえた。

 「1号室の武蔵さん、入院してるから………家賃入れてないかもしれない。ここ、敷地が広い

から、固定資産税も馬鹿にならないし、このへん路線価も上がって来てるからね」

 麗さんは、室内装飾の仕事をしているので、不動産にも詳しい。

 「まさか、家賃の値上げ何てことにならないでしょうね」

 そこへ、野口さんの奥さんが、顔を出した。

 「うちの子達、おじゃましてる?」と。

 「来てないけど、ちょっと、入ってよ」

 麗さんは野口さんの分も、缶ビールを出した。

 「ところで、サーちゃんは、何してるかな?」

 と、麗さんがサーちゃんの部屋へ目をやった。

 「お姉ちゃん、いないよ。草探しに行った。オレにも、ジュースくれ」

 「あんたは、水でがんしなさい。草探し?なに、それ」

 「ジュースくれなきゃ教えない」

 麗さんは、肩をすくめて、立ち上がった。

 「裕信達も一緒なの?」

 ター君は、わざとゆっくりリンゴジュースを飲んで………、こくんと頷いて、説明。

 説明をきくや、二人は大笑い。

 「やだー、草って、山菜の事でしょ」

 「子ども達に、山菜が採れる分けないじゃない」

 「タンポポでも、摘んでくるんじゃない」

 「フランス人は、タンポポのサラダ、食べるってよ」

 「カタツムリだって食べるんですもの」

 「エスカルゴ!フレンチなんてしばらく食べてないな」

 しかし、麗さんと野口さんの推測は大外れ。

 サーちゃんたちは、抱えきれないほどいっぱい、山のように「草」を採って帰って来た。

食べられる草、小松菜とほうれん草を。

 「散歩していたおじいさんが、教えてくれたのよ」

 「『あの草なら食べられるよ』って」

 「すごいでしょ、ぼくたち」