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サーちゃんは、「帰りの会」が終わるといなや、教室を飛び出した。 二組の靴箱の前で、裕信君を捕まえると、 「一緒に帰ろう、大事な話が有る」 と、いって、靴を突っかけた。 「でも、おれ………、田代と遊ぶ約束」 しぶる裕信君に、サーちゃんは、 「おばあちゃんの一大事なんだから。帰ったら、あたしんちに集合よ」 といって、駆け去った。 「サーちゃんばあちゃんの一大事?」 そう聞いては、友達との約束どころではない。裕信君は、急いでサーちゃんの後を追った。 二人は、「大志館」の玄関に着くなりカバンを放り投げて、階段を駆け上がった。 二人の息は弾んでいる。 「みんなー、あたしんちに集まってー」 「みんなー」と呼ばれた、真一君とター君とナッちゃんは、真一君の家でゲーム中。 「ここでいいじゃん。うち散らかすと、また、ママに叱られぞ」 と、サーちゃんの弟のター君が、いった。 「だめなの、直ぐに下に来て」 サーちゃんの一声で、みんなは、サーちゃんの後に続いた。 自分の部屋へ入ったサーちゃんは、本棚から図鑑を引き出して、皆に示した。 「いい、ここから食べられる草を選び出して、皆で集めるのよ」 「なんでだよ、めんどっちぃ!」 ター君が、口を尖らせた。 「おばあちゃんを助けるためよ。文句言わないで」 サーちゃんは、イライラと図鑑のページをめくった。 「ねー、サーちゃん、どうして草を集めるとおばあちゃんが助かるの」 ナッちゃんがいうと、 「あんたがいってたんでしょ、おばあちゃんが草食べてるって」 と、ナッちゃんをにらんだ。 「どうして、サーちゃんばあちゃんは、草を食べてるんだ?」 真一君の質問に、裕信君が、声をひそめて、 「貧乏だからだって」 と、答えた。 それを聞いた、ター君、 「うちも貧乏だぜ。いつもママが言ってるじゃん」 と、サーちゃんの顔を見た。 サーちゃんは、肩をすくめて首を振った。 「でも、道端の草は食べてないでしょ。おばあちゃんは、もっともっと貧乏なのよ」 「じゃ、ぼくに誕生日プレゼント、くれないのかな?やだよ!」 ター君は、やっと事の重大さを理解したようだ。 裕信君が、ため息をついた。 「いろいろ変わったから、郵便局員は大変なんだ」 くぅばーたんのだんなさんの五郎さんは、郵便局勤め。 裕信君達のお父さんお母さん、野口さん夫婦も郵便局員だ。 「そうか………大変なのか………」 皆は、顔を見合わせてうなづき合って………。 そこへ、くぅばーたんが、 「玄関に、カバンを置きっ放しにしてるのは誰?」 と、やってきた。ふかふか湯気の出た、よもぎ入り蒸しパンを持って。 |