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「今日の晩ご飯、卵かけご飯………か」 ナッちゃんが、ぐるぐると生卵をかき回した。 「おかずに文句を言っちゃいけないよ。ご飯を食べられるだけ、感謝です。感謝!」 と、一也さんが、手を合わせた。 「それって一番嫌みじゃない?」 美鈴さんが、ギロリと一也さんをにらんだ。 「おかずは、どこ?かあたん」 みーちゃんが、ご飯茶碗と生卵を割り入れたドンブリが一つ置いてあるだけのテーブルを、 見回した。 「やめろ、みーちゃん」 ナッちゃんが、テーブルの下でみーちゃんの足を蹴った。 「ヤーン!いたいよ、にいたん。やめて」 美鈴さんが、ガバッと立ち上がった。 「喧嘩しないで!いいわよ、お母さんのとこから、何かおかずをもらってくるから」 それを聞いたみーたんが、首を横にふった。 「ばあたんちのおかず、草だよ」って。 「えっ?草?臭?」 皆は、キョトーン! 美鈴さんは、仕事の都合で帰りが遅くなってしまった。 それで、慌てて帰って来たから、おかず無し晩ご飯。 「なんで、ばあちゃん、草食べてるの?」 ナッちゃんは、不思議そう。 「お金が無いからだって」 このみーちゃんの答えに、皆ギックリ! 一也さんと美鈴さんが、顔を見合わせて、(やっぱり)というようにうなずき合った。 「ター君ちでもらおうよ、ボクもらって来る」 ナッちゃんが、椅子から飛び降りると、廊下を走って行った。 「大騒ぎになるぞ」 一也さんが、クスッと笑った。 間もなく、大皿に盛られた焼き餃子を持って、ター君とサーちゃんと、 盛りあがった麗さんがやって来た。 「大変だったのねー、テレビで見たわよ。テレビつけたら美鈴さんが映ってるじゃない。 びっくりして、皆に電話しちゃった」 美鈴さんの勤めている幼稚園の園長が、交通事故を起こした。 それを、地元のケーブルテレビが取材に来て、美鈴さんも、取材されてしまって………。 「で、真相はどうだったの、飲酒運転の」 麗さんも、取材か? 「園長は、大学の時のクラス会に出た帰りで、乾杯のワインを1杯飲んでたらしいの」 「1杯?いっぱい?」 「元々飲めない人なのよ、奈良漬けで赤くなるんだから。飲酒が原因ではないらしいわ。 よそ見運転」 「なんで?」 「久しぶりに友達と会って、盛り上がっちゃったのよ、きっと。車の前がへこんだだけでね。 事故を起こしたのは昨日の事だけど………」 「それが、どうして今日ニュースに?」 「知らない。きっと同業者の嫌がらせでしょ。 子どもが減ってるから、園児の募集が大変で………。厳しいのよ、幼稚園業界は」 一也さんが、うんうんと頷いていった。 「昨日か。お義母さんが、武蔵さんの御見舞いに行った日だ。うん」 |