35 くぅばーたん13交通事故はだれのせい!

 「今日の晩ご飯、卵かけご飯………か」

 ナッちゃんが、ぐるぐると生卵をかき回した。

 「おかずに文句を言っちゃいけないよ。ご飯を食べられるだけ、感謝です。感謝!」

 と、一也さんが、手を合わせた。

 「それって一番嫌みじゃない?」

 美鈴さんが、ギロリと一也さんをにらんだ。

 「おかずは、どこ?かあたん」

 みーちゃんが、ご飯茶碗と生卵を割り入れたドンブリが一つ置いてあるだけのテーブルを、

見回した。

 「やめろ、みーちゃん」

 ナッちゃんが、テーブルの下でみーちゃんの足を蹴った。

 「ヤーン!いたいよ、にいたん。やめて」

 美鈴さんが、ガバッと立ち上がった。

 「喧嘩しないで!いいわよ、お母さんのとこから、何かおかずをもらってくるから」

 それを聞いたみーたんが、首を横にふった。

 「ばあたんちのおかず、草だよ」って。

 「えっ?草?臭?」

 皆は、キョトーン!

 美鈴さんは、仕事の都合で帰りが遅くなってしまった。

 それで、慌てて帰って来たから、おかず無し晩ご飯。

 「なんで、ばあちゃん、草食べてるの?」

 ナッちゃんは、不思議そう。

 「お金が無いからだって」

 このみーちゃんの答えに、皆ギックリ!

 一也さんと美鈴さんが、顔を見合わせて、(やっぱり)というようにうなずき合った。

 「ター君ちでもらおうよ、ボクもらって来る」

 ナッちゃんが、椅子から飛び降りると、廊下を走って行った。

 「大騒ぎになるぞ」

 一也さんが、クスッと笑った。

 間もなく、大皿に盛られた焼き餃子を持って、ター君とサーちゃんと、

盛りあがった麗さんがやって来た。

 「大変だったのねー、テレビで見たわよ。テレビつけたら美鈴さんが映ってるじゃない。

びっくりして、皆に電話しちゃった」

 美鈴さんの勤めている幼稚園の園長が、交通事故を起こした。

 それを、地元のケーブルテレビが取材に来て、美鈴さんも、取材されてしまって………。

 「で、真相はどうだったの、飲酒運転の」

 麗さんも、取材か?

 「園長は、大学の時のクラス会に出た帰りで、乾杯のワインを1杯飲んでたらしいの」

 「1杯?いっぱい?」

 「元々飲めない人なのよ、奈良漬けで赤くなるんだから。飲酒が原因ではないらしいわ。

よそ見運転」

 「なんで?」

 「久しぶりに友達と会って、盛り上がっちゃったのよ、きっと。車の前がへこんだだけでね。

事故を起こしたのは昨日の事だけど………」

 「それが、どうして今日ニュースに?」

 「知らない。きっと同業者の嫌がらせでしょ。

子どもが減ってるから、園児の募集が大変で………。厳しいのよ、幼稚園業界は」

 一也さんが、うんうんと頷いていった。

 「昨日か。お義母さんが、武蔵さんの御見舞いに行った日だ。うん」