34 くぅばーたん12「くぅばーたん、フキを摘む」

 ガッチャン!ガッチャン!

 バシャバシャー!

 くぅばーたんは、玄関前の井戸端で仕事中。

 手押しポンプで水を汲み上げ、採って来たばかりのフキを洗っている。

 「老体にむち打って、がんばっているね」

 という声に振り向くと、キーちゃんが、立っていた。

 「ばあたん」

 可愛い声の主は、孫のみーちゃん。

 「あらっ!どうしたの?キーちゃんが、保育園にお迎えに行ったの?」

 「『あらっ!どうしたの?』はないだろう。おふくろに連絡しても連絡がつかないから、

美鈴が困ってたぞ。なー、みーちゃん」

みーちゃんのお母さんの美鈴さんに急用が出来て、

みーちゃんの保育園のお迎えに間に合わない。

 それで、美鈴さんは、

くぅばーたんに連絡したのだが、

くぅばーたんが居なくて、

ピンチヒッターでキーちゃんが、迎えに行った。 

 キーちゃんは、家で仕事をしているから、

たいてい家に居る。

 「美鈴に、なんか有ったの?」

 「知らねー、関係ないしー」

 キーちゃんは、ふざけた調子で答えた。。

 代わりにミーちゃんが説明だ。

 「かあたんの幼稚園の園長先生が、交通事故したんだって」

 知らないと言ったキーちゃんが解説。

 「それが、飲酒運転だとさ。女のくせに昼間から酒飲んで、電信柱にぶつかって!

それが、シルバーのベンツ!幼稚園って、そんなに儲かるのかね。それなら、美鈴の給料上げて

くれってんだよ」

 それを聞いて、くぅばーたんはドキッ!

 くぅばーたんは、クラクションを鳴らした車に、黒魔術を掛けた事を思い出していた。

 (まさか、あたしの魔術なんて………)

 なんてわけは、無い。が、気になるくぅばーたん。

 「いつ、どこでかしら、その事故?」

 キーちゃんは首をすくめて、

 「知らない。テレビ見てたら、放送するんじゃん。どこかのテレビ局が取材に来たって言って

たから。それで美鈴が、忙しくなったってわけ。

それより、おふくろ、どこ行ってたんだ、ふらふらとさ」だって。

 「ふらふらなんかしていません。フキを採りに行ってたのよ」

 「お袋も生活苦しいんだね、道端の草取って喰わなくちゃなんないなんてさ

 「道端じゃありません。2丁目の空き地に一杯生えていてね、もったいないから………」

 「2丁目の空き地って、団地の外れの?」

 「ええ、あの田んぼ。休耕地なんでしょ」

 「ちがうよ、あそこは、カケス建設の持ち物だよ。

あーあ、しらねーよ、カケスんちのフキ盗んじゃってさ、又もめるぜ」

 と、くぅばーたんをからかうキーちゃん。

 でも………、あれ?くぅばーたん、固まってるよ!

 ミーちゃんが、唄って、フー!

 「すじーの通った、フーキー」って。