24話 くぅばーたん「お金の悩み」

 くぅばーたんには、悩みができた。

 それは、お金の悩み。

 お金が無くて、困ってる、金欠病?

 じゃなくて‥‥、有るから困っている‥‥‥というか、お金が入ってきて困っている‥‥とい

うか。

 早い話、おじいさんの大切な本を、「売っちゃった!」ことを、後悔しているのだ。

 (あたしって、本当に考え無しだから)-

 古い貴重な本が沢山有ったので、高く売れた。お金がもうかった。しかし‥‥‥。

 「そりゃ、確かに、お金より、本の方が、大切だったわ。でも、うちではだれも読まない本だから、だれか必要な人に買ってもらった方が、役に立つ。だけど、やっぱりもったいなかったかな・・・。ああ、迷っちゃう。お金は有るけど‥‥‥」

 これだけお金があれば、アフリカに行って、モンブランを見ながら、モンブランケーキが食べられる!

 オーストリアに行って、ウイーンで、本場のウインナーソーセージが食べられる!

 中国に行って、天津で、死ぬほど天津甘栗が食べられる!

 (考えるだけでも楽しいはずなのに・・・、だけどね、なんか、楽しくないのよね)

 とりあえず、このお金で、楽しい事をしようと、くぅばーたんは考えた。

 (新宿へ行って、映画を見て、デパートでランチを食べて、残りは、貯金しましょう。いいえ、行く前に貯金をしましょう。大金を持っていて、スリにでもあったら大変)

 くぅばーたんは、「カケスニュータウン駅」の駅前の銀行のATMの前で、お金を預けようとバックを開けた時。銀行のカードも通帳も、忘れた事に気がついた。

 「あらあら、まー、あたしって、おっちょこちょい」

 と、くぅばーたんが言った時、となりのATMの前からも、

 「あー、まー、あたしって、なんておっちょこちょいっ!」

 と、叫ぶ声がした。

 (聞いた事のある声だけど)

 見ると、いつもくぅばーたんが家の修理をお願いする、大工さんの棟梁のおかみさん。

 「どうなさったの?」

 「あっ、『大志館』の奥さん。いえ、何でも有りません。ただ・・・」

 「ただ?どうしたの?なにか困った事?」

 「実は、主人が足場から落ちてけがをして、救急車で運ばれたんです」

 「まー、大変!直ぐに行ってあげなくちゃ」

 「はい。それで、お金が必要なので、下ろしにきたんですけど。銀行のカードと間違えて、スーパーのポイントカードを持ってきてしまって」

 (それは、おちょこちょいだわ)

 と、思ったが、笑えない。それほど心配で、慌ててるんだ。

 「少しでも早く行ってあげなさい。お金なら、私が持ってます。これを、使って」

 と、くぅばーたんは、持ってたお金を全部、おかみさんに差し出した。

 「そんな!お金は、受け取れません」

 おかみさんは、びっくりして、断った。

 「そういわないで!ちょうど、棟梁にお願いしたい仕事があるのよ。二階のバルコニィーの手

すりが腐っちゃててね。怪我が治ったら、直しにきてちょうだい。これは、修理代の前払い。遠

慮しないで使って」

 「では、お言葉に甘えます。ありがとうございます」

 棟梁のおかみさんが、深々と頭を下げた。

 でも、お礼を言いたいのは、くぅばーたんのほうだ。

 これで、悩みは解決。

 お金は、もう無い!

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