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くぅばーたんには、悩みができた。 それは、お金の悩み。 お金が無くて、困ってる、金欠病? じゃなくて‥‥、有るから困っている‥‥‥というか、お金が入ってきて困っている‥‥とい うか。 早い話、おじいさんの大切な本を、「売っちゃった!」ことを、後悔しているのだ。 古い貴重な本が沢山有ったので、高く売れた。お金がもうかった。しかし‥‥‥。 「そりゃ、確かに、お金より、本の方が、大切だったわ。でも、うちではだれも読まない本だから、だれか必要な人に買ってもらった方が、役に立つ。だけど、やっぱりもったいなかったかな・・・。ああ、迷っちゃう。お金は有るけど‥‥‥」 これだけお金があれば、アフリカに行って、モンブランを見ながら、モンブランケーキが食べられる! オーストリアに行って、ウイーンで、本場のウインナーソーセージが食べられる! 中国に行って、天津で、死ぬほど天津甘栗が食べられる! (考えるだけでも楽しいはずなのに・・・、だけどね、なんか、楽しくないのよね) とりあえず、このお金で、楽しい事をしようと、くぅばーたんは考えた。 (新宿へ行って、映画を見て、デパートでランチを食べて、残りは、貯金しましょう。いいえ、行く前に貯金をしましょう。大金を持っていて、スリにでもあったら大変) くぅばーたんは、「カケスニュータウン駅」の駅前の銀行のATMの前で、お金を預けようとバックを開けた時。銀行のカードも通帳も、忘れた事に気がついた。 「あらあら、まー、あたしって、おっちょこちょい」 と、くぅばーたんが言った時、となりのATMの前からも、 「あー、まー、あたしって、なんておっちょこちょいっ!」 と、叫ぶ声がした。 (聞いた事のある声だけど) 見ると、いつもくぅばーたんが家の修理をお願いする、大工さんの棟梁のおかみさん。 「どうなさったの?」 「あっ、『大志館』の奥さん。いえ、何でも有りません。ただ・・・」 「ただ?どうしたの?なにか困った事?」 「実は、主人が足場から落ちてけがをして、救急車で運ばれたんです」 「まー、大変!直ぐに行ってあげなくちゃ」 「はい。それで、お金が必要なので、下ろしにきたんですけど。銀行のカードと間違えて、スーパーのポイントカードを持ってきてしまって」 (それは、おちょこちょいだわ) と、思ったが、笑えない。それほど心配で、慌ててるんだ。 「少しでも早く行ってあげなさい。お金なら、私が持ってます。これを、使って」 と、くぅばーたんは、持ってたお金を全部、おかみさんに差し出した。 「そんな!お金は、受け取れません」 おかみさんは、びっくりして、断った。 「そういわないで!ちょうど、棟梁にお願いしたい仕事があるのよ。二階のバルコニィーの手 すりが腐っちゃててね。怪我が治ったら、直しにきてちょうだい。これは、修理代の前払い。遠 慮しないで使って」 「では、お言葉に甘えます。ありがとうございます」 棟梁のおかみさんが、深々と頭を下げた。 でも、お礼を言いたいのは、くぅばーたんのほうだ。 これで、悩みは解決。 お金は、もう無い! |