21話 くぅばーたん1 「魔女になりたい」

 春のある日。

 満開の桜に誘われたのか……。

 くぅばーたんは、決心した。

 (今日こそ、魔女になってやるわよ)

 魔女になる?

 (まず、パーマをかけて・・・)

 「パーマは、あの店でかけよう」

 新宿ヘ行く時、電車の中から見つけた店。線路ぎわの美容院。その店の窓には、こう書いて

あった。

 「美の魔術師、ミスター松本の店」と。

 病院へ行く振りをして、家を出て、電車に飛び乗ったが……、くぅばーたんは、緊張。

 生まれてから一度も、パーマというものをかけた事が無い。

 ドキドキしながら、美容院のドアを入った。

 「いらっしゃいませー!」

 松本さんが、元気よく迎えてくれたが、くぅばーたんの声は上ずって、

 「パーマをかけて。魔女のように」

 と、いうのがやっと。

 「魔女といいましても・・・」

 松本さんは、困った様子で、くぅばーたんにたずねた。

 「魔女も、いろいろありますよ。テレビドラマに出て来る魔女とか、マンガの主人公の魔女と

か、シェイクスピア劇の魔女とか」

 「良い魔女です。オズの国の南の魔女の様な。でも、おばあさん風にアレンジして」

 と、くぅばーたんは、夢中で答えて、赤くなった。わざわざ、おばあさん風なんていわなくて

も、どこからみても、じゅうぶんおばあさんのくぅばーたんだったから。

 松本さんは、

 「お任せください。オズの国の魔女ですね」

 と、ニッコリ笑った。とたんに、くぅばーたんは、眠くなって……。

 「お疲れさまでした」

 と、言われるまで、眠ってしまって……。

 目を明けて、くぅばーたんはびっくり!

 鏡の中にいるのは、まぎれもなく魔女!

 髪の毛の一本一本が、楽しそうに,元気よく頭の周りでクルクル踊っていた。

 椅子から立ち上がったくぅばーたんの足まで、髪の毛に誘われて、踊りたがって。

 くぅばーたんは、ホームへ向う駅の階段を、タララッ!と、上がってしまった。

 電車に乗っても、ウキウキ気分を押さえる事が出来ない。くぅばーたんは、周りの人に、笑い

かけずにはいられなかった。

 笑いかけられた人も、つられて微笑む。

 それは、「幸せ」の魔法の効果?

 家に帰りつくなり、くぅばーたんは、旦那さんに飛びついてキス。

 「あたし、魔女になったのよ」

 「そう、それは良かったね」

 ちっともビックリしない旦那さん。

 それどころか、旦那さんは、心の中で笑っていた。

 「それって、エイプリルフールでしょ、だまされないよ」と。

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