120話 くぅばーたん85皆、皆、サンキュー

 朝のニュースを見て、「大志館」は、割れんばかりの大騒動。「房総建設」の若社長が、詐欺

の疑いで逮捕されたというニュースだ。

 「うちのプラン料、誰が払ってくれるのかしら?この一ヶ月、ただ働きかもしれない」

 と、麗さんが嘆き、

 「幼稚園の土地は、どうなるの」

 と、美鈴さんは、半べそ顔で、

 「お母さん、まさかだまされてないよね」

 と、キーちゃんは、心配した。

 皆は、大騒ぎで、出かけていったが……。

 くぅばーたんは、顔を青くして、椅子から立ち上がれない。

 「どうしたの?くーちゃん、入院中の安平さんの事は心配しないで大丈夫だよ。病人だもの、

つかまったりしないさ」

 と、五郎さんは、くぅばーたんを慰めた。

 とたんに、くぅばーたんは、泣き出して、泣きじゃくりながら、五郎さんに告白。

 「美鈴の幼稚園の土地を買う契約では、私が、房総建設の保証人になったの。駅前ビルの武蔵

んの絵を展示する画廊も、私が保証人だし、安平さんの入院費の保証人も、私なの」

 それをきいた、五郎さんは、くぅばーたんを抱きしめると、言った。

 「大丈夫。どれもお金で解決出来る事だ。くーちゃんは、少しも悪くない。不幸中の幸い、ぼ

くの退職金があるじゃないか。なんとかなるさ」

 「ううん、五郎さんのお金は使えないわ。裏の畑を、千兵に買ってもらいます」

 そこへ、やってきたのは、カケス不動産の千兵さん。

 その顔を見たとたんに、くぅばーたんは、

 「何しに来たのよ、帰ってよ」

 と、心にも無く、怒鳴ってしまって……。

 「そりゃ、八つ当たりだよ、くーちゃん」

 五郎さんが、止める間もなく、

 「さすが、金の亡者の千兵だわ」

 と、喧嘩を売った。千兵さんは、苦笑い。

 「そりゃないぜ、くーちゃん。今日は、もうけ話を持って来たのに」

 「もうけ話?私に?」

 くぅばーたんの目の色が変わった。「金の亡者」は、くぅばーたんかも……。

 「アメリカの克彦から、電話でね。『登&聖子』の絵をどうしても欲しいというコレクターが

いるんだとさ、『オズの国』とやらを言い値で買うと言って来たとさ」

 と、言い終わるか終わらないうちに、

 「売る売る。直ぐに棟梁に頼んで、あの部屋の壁を剥がしておくわ。売ると返事して」

 くぅばーたんは、躍り上がらんばかりに、大喜び。

 「でも、あれは、くーちゃんの宝物でしょう」

 という、五郎さんの声も耳に入らない。

 くぅばーたんは、天を仰いで感謝!

 「サンキュー、パパ。これで、悩みは全て解決よ。おじいちゃん、おばあちゃんも、見守って

くれてありがとう。それから、聖子さん、ママも、ありがとう。皆、皆、サンキューよ!」