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五郎さんは、中華料理が大好物。 中でも黒酢を使った酢豚がお気に入り。 くぅばーたんが酢豚の最後の仕上げのとき片栗を入れている時、ナッちゃんが、 「ばーちゃん、早く来て!」 と、叫びながら、台所に飛び込んで来た。 くぅばーたんは、ガスを止めると、急いでナッちゃんの後を追った。 バタバタ大慌てて階段を上がると、キーちゃんの部屋に皆が集まっていた。 「ほら、見て見て!サラが歩いてる」 キーちゃんのパソコンを囲んで。 「これは、何なの?」 「谷さんが送ってくれた画像」 「谷さん、サラのとこに居るんだよ」 ママの広子さんに連れられて、サラは九州の久留米に里帰りをしている。 カメラマンの谷さんが、取材旅行中に、久留米に寄ったのだという。 「たった一月半見ないうちに……」 ハイハイしていたサラちゃんは、伝い歩きをしていた。画像が消えても、誰も部屋に戻ろうとしない。 「サラちゃん、いつ帰って来るの?」 ミーちゃんが、くぅばーたんにきいた。 「さー、いつかしら。でも、サラちゃんのおじいちゃんもおばあちゃんも、サラちゃんといっしょに居たいでしょうから」 くぅばーたんは、ミーちゃんの頭をなでながら答えた。 「広子さんのお父さんが、『仕事が無いのに帰ってどうする』って、言うんだって」 情報通のサーちゃんが、報告。 「広子さんは、帰りたがっているんだって。ここが、好きなんだってよ」 サーちゃんの目が、 「ばーちゃん、何とかしてあげて」 と、訴えていた。 「それなら簡単よ。ばーちゃんの知り合いが、市民病院に入院したから、その付き添いを広子さんにお願いしましょう」 くぅばーたんの返事に、サーちゃんは飛び上がって喜んだ。皆も大喜び。 「でもね、お母さん。広子さん達の生活はどうするの」 キーちゃんが、くぅばーたんにきいた。 「武蔵さんのいたお部屋に住んでもらって」 「住まいじゃない、収入」 いつになく、キーちゃんは厳しい。 「もちろん付添料は払うわよ。私が」 「お母さん。ちゃんと考えてみてよ」 キーちゃんが、もっと厳しい声で言った。 「お母さんは、土地は持っていても、収入が無いんだよ。税金ばっかりかかるんだ」 その晩。 片栗粉がだま玉に固まった酢豚を食べながら、くぅばーたんが五郎さんに言った。 「ここのお家賃、少し値上げしょうかな」 「まずいよ。それも、酢豚も、まずいまずい」 五郎さんは、そう言って首を横に振った。 |