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朝、サーちゃん達が登校すると、裕信君が、校門の前で、サーちゃんを待っていた。 「学校、終わったら、付き合ってくれ。大事な用事があるんだ。ここで待ってる」 もったいぶった様子で、裕信君はそう早口で言うと、走り去った。 「付き合ってだったよ」 「大事な用事だって!」 真帆ちゃんも、亜由美ちゃんも興味津々。 放課後、約束通り、裕信君は、門のところでサーちゃんを待っていた。 裕信君は、サーちゃんに、懸巣山の方を指差しながら、 「うちの大伯母ちゃんが、サーちゃんのおばーちゃんの子どもの頃の事を知ってるんだって さ。話を聞きに行こう」 と、先に立って歩き出した。 学校から懸巣山までは、ずいぶん遠かったが、裕信君とサーちゃんは、へこたれずに歩いて来 た。真帆ちゃんと亜由美ちゃんもついて来た。 裕信君の大伯母ちゃんは、八十三歳。畑仕事を早めに切り上げて、裕信君のために、イモを蒸 かして待っていた。 四人は、縁側に腰掛けて、ふかしイモと麦茶をご馳走になりながら、話を聞く。 大伯母ちゃんは、くぅばーたんが財産放棄を迫られている話を聞くと、自分の事の様に悔しがった。 「財産放棄しろってか?つまり、あのお母ちゃんが、『あんたには一銭もやらね』って、言っ てるのか?あの人の言いそうな事だ」 大伯母さんは、空を睨みつけて話し始めた。 「『大志館』の奥さんのお母ちゃんは、それはそれは美人でな、映画女優の様だと評判だっ た。自分でも、美貌には自信があった様子で、鼻高々。鼻持ちならねかったの。その上、生まれ て来た赤ん坊を見て、「なんて不器量なの。あたしの子じゃないみたい」って、ろくに抱きもし なかった」 と、子ども達の顔を見回した。 「可愛くない赤ちゃんって、おばーちゃんのこと?おばーちゃん、かわいいよ!」 サーちゃんは、腹を立てた。 「ああ、今の「大志館」の奥さん、くららさんの事だ。そうそう、くららという名前は、昔の 有名なピアニストの名前だそうで、生まれる前から、「あたしの子どもは絶対ピアニストにす る」と、奥さんのお母ちゃんは、決めていたそうだ」 「バカじゃないの!自分勝手に」 真帆ちゃんも怒った。 「ピアノの練習は厳しくて、言葉で叱るだけでなく、折檻もして……」 「折檻って、ぶつんでしょ?ひどーい!」 亜由美ちゃんも怒った。 「あげくの果てに、子どもほったらかして、夫婦でアメリカへ行っちゃって」 「ヒドイ話だよねー」 裕信君が、大きくうなずいた。
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