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「大志館」の一階のホールで、くぅばーたんと、弁護士の克彦さんの会談は始まった。 ここなら、「大志館」全体に声が届くし、どこからも様子がうかがえる。 「克彦は、頭の切れる奴だよ。お母さんが騙されないように、皆で見ていてあげよう」 「大家さんの証人になりますよ」 話し合いの場をここにするように勧めてくれたのは、キーちゃんと野口のお父ちゃんだ。 大人も子どもも、皆が聞き耳を立てる。 ホールに、くぅばーたんの声が響いた。 「それじゃ、話が違いますよ。母の娘さんのマリアさんからの手紙では、『農場を処分して、 母を病院に入れたい』と書いてありましたよ」 くぅばーたんが、声を荒げて言った。 「それは、娘さん、おばちゃんの妹さんのマリアさんの意見でしょう」 克彦さんは、くぅばーたんを小母ちゃんとよんだ。弁護士にはふさわしくない呼び方だが、そ う言い慣れているからだ。 「僕は、小母ちゃんのママの聖子さんの代理人です。聖子さんは、農場を、息子の大地さんに 継がせたいから、おばちゃんに相続放棄をしてくれと言って来てるんです」 「ま……、ママも妹も、どちらも、私に武蔵さんの財産の相続を放棄しろ、つまり、何もあげ られないと言って来てるところは同じですけど……」 くぅばーたんは、お金が欲しい訳ではないが、こうあからさまに、「何にもあげない」と言わ れると、海の向こうから「あかんべー」をされたようで腹が立つ。 克彦さんが、頭をかきかき言った。 「ミセス聖子ウイリアムズさんのいい分は、強引です。昔、ブドウ畑を、おばちゃんのパパと ママと武蔵さんの三人で買った。つまり持ち分は3/1ずつです。おばちゃんのパパが亡く なって、その半分、3/1の2/1、つまり6/1が小母ちゃんの物になった」 「はあ?私の物?いつから?」 「ここで、武蔵さんの分の3/1もおばちゃんの物になると、6/1+6/2で、6/3。 つまり、2/1、半分がおばちゃんの物になった事になる。それを売られてしまうと、 農場としてやって行けないと言う訳です。どうでしょう?」 克彦さんが、財産放棄の書類を差し出した。 「へー、そうー、私が、農場の権利を半分持っているのね」 くぅばーたんにとって、寝耳に水の話だ。 6/1の話だって、初耳なのだ。 「大家さんは、金持ちなんですね」 と、野口のお父ちゃんが、目を剥いた。。 くぅばーたんは、納得がいかない。 「私が半分持っていてたら、どうしていけないの?何が困るの?」 克彦さんが、額の汗を拭った。 「農場を売りたがっているのは、私じゃないでしょ、マリアさんでしょう?それをなぜ、私 が、悪者扱いなの?どうして?私は、欲張りじゃないのに」 くぅばーたんは、悔しそうに唇をかんだ。
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