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「ねー、お母さん、何か薬無いかな。昨日の運動会で張り切り過ぎて、体中が痛くてたまん ねーよ。筋肉痛!」 と、パジャマ姿で現れたのは、キーちゃん。 「なんだ、その様は!今、何時だと思う」 朝刊に目を通しながら、コーヒーを飲んでいた五郎さんが、声を荒げた。 「ゲゲッ、そんなに怒鳴らないでっ。勘弁してよ、頭も痛いんだから。二日酔いでさ」 キーちゃんは、へたへたと椅子に座り込んだ。 「昨夜は、何時に帰ったんだ。ずいぶん遅かったようだな」 今日の五郎さんは、いつもと違う。 「克彦と飲んだんだよ。久しぶりだし、運動会の打ち上げもあったしで」 「やっぱり、克彦君と一緒か」 「何か?エエッ!克彦が、ヤバいの?」 「いや……、ちょっと」 と、五郎さんは、くぅばーたんに目をやった。 くぅばーたんは、窓辺に椅子を持っていいって、頬づえをついて、物思いにふけっていた
きーちゃんが、声をひそめた。 「どうしたの?お母さん。何か変だよ」 五郎さんも、ささやくような声で言った。 「さっき、アメリカのお母さんから、速達で手紙が来たんだよ。どうやら、お母さんの娘が来 るらしい」と。 「お母さんのお母さんの娘?それって、ぼくのお婆ちゃんの娘ってこと?」 「ああ、そうゆうことだ」 キーちゃんは、ククッと笑って、お腹を押さえた。 「笑わせないでよ。筋肉痛で、お腹も痛いんだから。お婆ちゃんの娘は、お母さんで……、も う、ここに居るでしょ」 五郎さんが、首を横に振った。 「お母さんが再婚した相手との娘。父親違いの妹……だな。どうやら、武蔵さんの財産のこと らしいけど……、嫌な手紙だったらしい。読みながら、泣いていたよ」 「へー、お母さんに妹がいたんだ。オレの叔母さんか……」 キーちゃんも、くぅばーたんが自分のお母さんを嫌っているらしい事は感づいていた。 「それ、克彦と、どう関係があるの?」 「克彦君は、先方の弁護士で、交渉のために来日したらしい」 「あんちくしょー、敵かよ!スパイだな」 「そうだな、うん」 五郎さんが、キーちゃんの顔を見て、大きくうなずいた。 キーちゃんの心が、キリキリと痛んだ。 「懐かしそうなふりして……」 騙されたと思うと、二日酔いの頭の痛みより、体の痛みより、心の痛みが大きかった。 その時、くぅばーたんが大きく伸びをして立ち上がった。 「売られた喧嘩は、買うわよ!生まれて初めての「きょうだいげんか」ワクワクするわ!」
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