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懸巣小学校の校庭は、懸巣神社の秋祭りの境内のように、大いに賑わっていた。 昨日の懸巣小の運動会の飾り付けの上に、商店会の花飾りを付けたのだ、目にも賑やか。 駅前の商店会の協力で、商品も盛り沢山。 「大したもんになっただな、カケスも」 「まっこと、ニュータウンの名に恥じませんな」 来賓は市長さんはじめ、市会議員の連中。 「若い者が居るとこも、あるんだね」 「あの人らは、東京に働きに行ってる他所者達さ」 「農家やるより、アパート経営がいいというのは、ほんとの話だろ」 農家の多い、桑畑6丁目の選手団の平均年齢は、五十八歳。 それに引き換え、カケスニュータウンの団地自治会の選手は、若さ盛り盛りだ。 「大志館」は、桑畑一丁目の中心的な存在だが、運動会の花形スターのカメラマンの谷さん は、取材に出かけたまま未だ帰ってこないし、正太郎さんも今朝から、地方公演へ出かけて行っ たしで……。 「どうだね、おたくの選手達は?」 カケスの千兵さんが、大会役員の腕章をつけてやってきた。 「どうせ、ニュータウンが優勝だって、自慢しに来たんでしょ」 くぅばーたんが、千兵さんを睨みつけた。 「いやいや、自慢は自慢でも、今日は、息子自慢だよ」 千兵さんが、後ろに就いて来た若者を指差してにやりとした。 「あら、克彦さん?おたくの息子さんの」 「その克彦が、この度、弁護士になって帰って来て。それも、アメリカの弁護士と来ちゃ、自 慢もして歩きたくなる」 千兵さんが、ガハハっと笑って、克彦さんが頭をかいて、照れてみせた。 「へー、あの泣き虫カッちゃんが、アメリカで弁護士?そりゃすごいわ」 「鳶が鷹を生んだではなくて、?が鷹を生んだですな。このカケタカ!」 五郎さんは、こう言って、自分で受けて、 「カケスにタカはカケタカで、カケタカかったからカケタカ、タカタカ」 と、タカタカ言って笑った。 (大人って、何で運動会が好きなんだろ) サーちゃんは、町会から配られるお菓子だけが楽しみなのだ。 野口のお父ちゃんは、冷えたビールがお楽しみ。 (早いとこ、ちょこっと走って、クィーっと、いきたいもんだ) と、ツバを飲み込んでいる。 キーちゃんと裕信君は、後ろの方で準備体操中。 殊勲選手には、商品券が出るときいて、張り切っているのだ。 くぅばーたんは、克彦さんを見つめて、うんうんと、大きくうなずいた。 (弁護士みーっけ!これで、私の悩みは解決よ)と。 |