109話 くぅばーたん74「金色のメダル」

 (運動会、ビリでもがんばれば良いんだ)

 サーちゃんは、明日の運動会の事を考えると、眠れない。

 くぅばーたんは、こう言う。

 「神様は、『何をしたか?どんな立派な事をしたか?』って、見てるんじゃないのよ。『がん

ばったか?どんな風にがんばったか?』って、見ているのよ」と。

 (今日のミーちゃんは、がんばったよ)

 保育園の運動会で。

 年中さんのミーちゃん達は、ルールの分かる子と、分からない子とが混じっていて。

 スタートの合図の笛が鳴ったとたん、ミーちゃんの隣に並んでいたダイキ君が、ミーちゃんを

突き飛ばした。

 突き飛ばされたミーちゃんは、転んで尻餅。皆は、ミーちゃんを置いてどんどん走って行っ

ちゃったけど……。

 その時、ナッちゃんが、ミーちゃんのそばへ走りよって、

 「ミーちゃん、がんばれ!最後まで、がんばれ!お兄ちゃんがついてるぞ」

 と、声をかけた。

 ミーちゃんは、イヤイヤと首を振ったが、立ち上がると、べそをかきながら、それでも最後ま

で全力で走って!

 サーちゃんは、応援の声も出せないくらい必死に、手を握りしめてミーちゃんを見守った。

 (あれは、金メダルものだったよ)

 ビリなのに、光っていたミーちゃん。

 (でも、あたしは……、ただのビリよ)

 重い気持ちで、眠りについたサーちゃん。

 学校へ向う足取りも、重い。

 いつものように真帆ちゃんと亜由美が迎えに来てくれたが、二人を見ても挨拶もしない。

 真帆ちゃんがサーちゃんに気を使って

 「サーちゃん、病気でお休みしてたから、調子悪いかもね」

 と、言ってくれたが……。

 (元気だって、どうせビリですよ!)

 サーちゃんは、ズンズン一人で歩いて行ってしまった。

 四年生の徒競走は、プログラムの一番目。

 緊張の上に緊張だ。その緊張は、サーちゃんだけじゃなくて……、2番目のグループで走った

真帆ちゃんが、途中で転倒。

 「真帆ちゃん、がんばって!」

 サーちゃんは、自分の事を忘れて、真帆ちゃんの応援。起き上がった真帆ちゃんは、無事三等

でゴールイン。

 (すごいや、真帆ちゃん。がんばったね)

 真帆ちゃんの事で頭がいっぱいだったせいか、サーちゃんは自分の番になるまでリラックス。

皆の応援が出来た。

 どんなにリラックスしたところで、サーちゃんは、やっぱりビリだったけど……。

 でも、サーちゃんは、

「サーちゃん、おしかったね」

 と、言ってくれた亜由美ちゃんの言葉にうなずく事ができた。

 真帆ちゃんは、悔しそうで……、慰める言葉も、サーちゃんには見つからなかった。