108話 くぅばーたん73「楽しい運動会」

 美鈴さんのてるてる坊主の効き目はすごい。

 今日は晴天、いい天気だ。

 都合良く、昨日の午後には雨が上がったので、グランドもさほど濡れていない。

 「からからに乾いているより、ほこりが立たなくていいよ」

 「このぐらいの方が、転んでも痛くないでしょう」

 「大志館」は、朝から大騒ぎ。

 早朝、六時前に幼稚園へ出勤して行った美鈴さんをのぞいて、皆でミーちゃんの運動会の応援

に行くと、張り切っているからだ。

 「弁当は、どうすんだろう」

 「大家さんが、美味いもん用意してるに決まってんだろう」

 「酒は飲めるのかい」

 「飲めないに決まってんだろう。保育園の運動会だよ。授業参観みたいなもんだろ」

 ワイワイ、ガヤガヤ、毎度の事だが。

 準備の手伝いに行くミーちゃんのお父ちゃん、一也さんについて、キーちゃんも保育園へ出か

けて行った。

 「うちは大人数だから、場所取りが大変」

 と、言いながら。

 その背中に、サーちゃんが、

 「キーちゃんのうそつき!キリン組の先生が美人だから、友達になりたいっていってたくせ

に」

 と、秘密をばらした。

 「へー、そんな美人が居るのか、それじゃー、ぼくも」

 と、正太郎さんが後を着いて行く真似をして、麗さんに、

 「あんたには、美人の妻が居るでしょ」

 と、引きずり戻された。

 五郎さんが、玄関前にすすみ出て、演説。

 「今日は天気にも恵まれて、運動会日和となりました。ミーちゃんの恥じにならない様に、行

儀よく観ていましょう。サーちゃん、タッ君、ナッちゃん達は、卒園生として、進んで競技に参

加しましょう」

 サーちゃんが、ブーイング。

 「えー、やーだ!出ないもん」

 裕信君が、胸を叩いた。

 「卒園生競技なら、僕に任せて!」

 裕信君も、真一君も卒園生だ。

 「はーい、オレもがんばるよ!」

 タッ君も、大はりきり。ひょんな事で、一等賞を取って以来、タッ君はカケッコに自信がつい

たようだ。実力はまだだが。

 五郎さんの演説はまだ続く。

 「運動会終了後、河原でピクニックです。

冷たいビールとジュースと、松茸ご飯のおむすびは用意してあります。さんまでバーベキューで

すよ」

 「大根は、これを使って下さい」

 そう言って顔を出したのは、裏の佐竹さんのおじいさん。

 「佐竹さんも、どうぞごいっしょに」

 くぅばーたんがすすめると、佐竹さんは、「後から追いかけます」と、にこにこ笑った。

 サーちゃんは、ちょっとくらい顔。

 (明日も、皆で来ちゃうのかな?)と。