102話 くぅばーたん68ずる休みサーちゃん

 サーちゃんは、学校を休んだ。

 運動が苦手なサーちゃんは、運動会が近づくこの時期になると、ウソついてでも学校を休みた

くなるが、本当に休んだのは、今日が初めて。

 どんなに上手くお腹が痛い振りをしても、せきをゴホンゴホンして見せても、ママには通じな

い。すぐ仮病だと見破られてしまう。

 それが、今日は大成功!

 と、いうか、ママは上の空で………。

 それというのも、弟のター君が夕べ遅くに三十八度近い熱を出して、ママはその看病でほとん

ど寝ていなかったので、

 「あたしも、具合悪い」

 というサーちゃんの言葉を、

 「やーね。ター君の風邪がうつったの」

 と、信じてしまったのだ。

 おでこに手を当ててみる事もしないで、体温計で熱を測りなさいとも言わないで。

 ママは、まだ三十七度三分の熱があるのに、「運動会の練習があるから、学校は休まない」

と、言い張っているター君との言合いに疲れてもいた。

 それでなくと月始めの月曜日で、ママの事務所では、早朝会議がある。忙しい朝だ。

 「サーちゃんの事は、おばあちゃんに頼んでおくからね。おとなしく寝ていてよ」

 と、サーちゃんに言って、

 「ター君も、本当は学校休んでほしいんだけど」

 と、ター君にもう一度言ってみたが、

 「やだ!絶対イヤだ!」

 と、ター君は家を飛び出してしまったから、

 「具合が悪くなったら、先生に言うのよ。おじいちゃんが迎えに行ってくれるように頼んでお

くわ」

 と、その背中に言って、自分も、大急ぎで仕事に出かけて行った。

 一人、家に残されたサーちゃんは、ゴソゴソとベッドにもぐり込んだ。

 サーちゃんが、ずる休みをした訳は、運動会の練習がイヤだからではない。

 「デズニーランドの話なんか、もう聞きたくないもん。あたしばっかり……」

 サーちゃんは、毛布をかぶって、思い切り泣いた。