|
|
|
サーちゃんは、学校を休んだ。 運動が苦手なサーちゃんは、運動会が近づくこの時期になると、ウソついてでも学校を休みた くなるが、本当に休んだのは、今日が初めて。 どんなに上手くお腹が痛い振りをしても、せきをゴホンゴホンして見せても、ママには通じな い。すぐ仮病だと見破られてしまう。 それが、今日は大成功! と、いうか、ママは上の空で………。 それというのも、弟のター君が夕べ遅くに三十八度近い熱を出して、ママはその看病でほとん ど寝ていなかったので、 「あたしも、具合悪い」 というサーちゃんの言葉を、 「やーね。ター君の風邪がうつったの」 と、信じてしまったのだ。 おでこに手を当ててみる事もしないで、体温計で熱を測りなさいとも言わないで。 ママは、まだ三十七度三分の熱があるのに、「運動会の練習があるから、学校は休まない」 と、言い張っているター君との言合いに疲れてもいた。 それでなくと月始めの月曜日で、ママの事務所では、早朝会議がある。忙しい朝だ。 「サーちゃんの事は、おばあちゃんに頼んでおくからね。おとなしく寝ていてよ」 と、サーちゃんに言って、 「ター君も、本当は学校休んでほしいんだけど」 と、ター君にもう一度言ってみたが、 「やだ!絶対イヤだ!」 と、ター君は家を飛び出してしまったから、 「具合が悪くなったら、先生に言うのよ。おじいちゃんが迎えに行ってくれるように頼んでお くわ」 と、その背中に言って、自分も、大急ぎで仕事に出かけて行った。 一人、家に残されたサーちゃんは、ゴソゴソとベッドにもぐり込んだ。 サーちゃんが、ずる休みをした訳は、運動会の練習がイヤだからではない。 「デズニーランドの話なんか、もう聞きたくないもん。あたしばっかり……」 サーちゃんは、毛布をかぶって、思い切り泣いた。 |