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7月25日 更新
新大志館物語」 第5章「夏の午後のサスペンス」 7 捜査開始

 

 長野歯科の待合室は、勝利君を心配する人でいっぱいだった。

 勝利君の友達の和彦君。そのママの彩美さん。

 和彦君のおじいちゃんで、長野歯科の院長の雅彦君と、東京から遊びに来ている和彦君の従弟 達。

 長野歯科の受付の杉村さんと、勝利君の保育園の担任だった佐藤先生。

 駅前の肉屋の正ちゃんと奥さんの国子ちゃん。

 それに私達、私と五郎さんと千兵の三人。

 「これは、探すべきでしょう。何としても、勝利君を見つけ出そう」

 五郎さんが、きっぱりと言い切った瞬間、長野歯科の待合室に緊張が走った。

 杉村さんが、吐き出すように言った。

 「だけど、何でこんな日なんだろう。よりによって、月遅れのお盆でさ。探すにも、助っ人が居ない時じゃない」

 杉村さんの意見に私も大賛成。

 わが家にしても、長男家族はキャンプに行っちゃったし、長女の家族は静岡へ帰省中。

 長男の嫁の麗さんは、地元で室内装飾の仕事をしているから顔が広い。おまけにPTA仲間も大勢いて、こんな時頼りになるはず。

 長女の美鈴も保育園勤務で、顔が広い事では麗さんに負けていない。何より、そのお連れ合いの一也さんは市役所勤め。防災課だから頼りになること千人力なはずなのに。

 あそこもここも皆留守で、人手が無い。

 残っているのは、パソコンが仕事相手の二男のキーちゃんでは………。

 「それもそうだけど、やれるだけやろう。まず、勝利君の叔母さん夫婦を捜し出して」

 人が変わったようにてきぱきと指し図する五郎さん。顔つきまで違う。

 さっき交番に呼び出されて以来、その夫婦の姿が見当たらなくなった。

 「おお、そいつは任せな。うちの会社の連中なら、奴らの顔を知っているし、立ち回り先も知っているだろう」

 千兵が、携帯電話を振りかざして応える。

 佐藤先生も発言。

 「保育園仲間に呼びかけて、勝利君の情報をもっと集めてみます」

 それに反発するように、彩美さんが、

 「情報だけではだめでしょう!きっと心細くて、泣いてるかも」

 と、身をよじった。

 「そんな悠長な事じゃ、手遅れになるかもしれない」

 彩美さんと雅彦君は、今にも探しに出たいのだ。

 「気持ちは分かるけど、ちょっと待って」

 五郎さんが、二人を押しとどめて、

 「うちの実家に寄って、古い配達地図を持って来るよ」

 「配達地図?」

 五郎さんの実家は、代々続く郵便局だけど。

 「昔の配達地図には、防空壕の跡や、古井戸なんかの危険な場所が書き入れられているんだ。郵便配達の時に役立てる為にさ」

 「そうだな、勝利君も防空壕の跡におっこってるかもな」

 「それだけでなくても、危険な箇所が分かれば、効率的だ。そこから探してあげたほうが良いだろう」

 我が夫ながら、さすが優しい五郎さん。目の付けどころが違う。心の中で拍手よ。

 

 「三十分で情報を集めて。三十分後に捜索の作戦を決めよう。その間に、手伝いの人も出来るだけ集めよう。僕も、昔の郵便配達仲間を当たってみる。ああ、交番にも顔出しておく」

 「うちの車使って。僕が運転するよ」

 「カケス山下の老人パワーを見せてやろう」

 「よっしゃ!エイエイオー!だ」

 五郎さんに雅彦君。千兵に肉屋の正ちゃん、

 カケス山下小学校の同級生は、勇んで出ていった。

 私は、とりあえず、キーちゃんに電話かな。

がついているのが、最新の物語です。

生田さんのページ


生田さんの新作、連載開始です。

「大志館』物語     第1巻

いろいろなお話が
いっぱい!

幽霊のお話もあるよ

「3丁目 妖怪図録」
何処にでも居る妖怪。誰にでも取りつく妖怪。あなたは、大丈夫?

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